阪神新設のバント担当コーチがさっそく動いた。阪神は15日、甲子園球場で秋季練習2日目を実施。この日から午前、午後の2部練習がスタートし、午後には秋山、青柳の先発投手がバントを特訓した。
矢野燿大監督の一問一答は以下の通り。
-2部練習がスタート。班に分けて密度を濃く
矢野監督 選手が少ないんでね。やれることも、シーズン無理してやってた分、体の治療にあてないといけない選手もいるし。でも今年がベストのシーズンやったっていう人はいないんで。まだまだ伸ばせるし、チームとしても伸ばしていかないといけないんで。打つ時は打つ時で、時間も数もしっかりやってもらって。守備はもともと課題なんで。午前も午後も、そういう風に数はたくさんやっていくというところで、こういう形に。
-今後も同じ形で続けていく
矢野監督 そうやな。実戦といっても、投手もおらへんしさ。大きくメニューを変えてということではなかなかやりにくい環境というか。いないんでね、選手が。逆に言うと、個別で自分の今まで気になってたことや新しくチャレンジすることは、ある意味思い切ってできるんで。そういう時間にしてくれたらなと思ってます。
-バント担当も務める久慈コーチが先発投手陣に指導していた
矢野監督 いやあ、先発投手のバントって、でかいから。みんなで気づいたことは伝えていくっていうのは俺ら(首脳陣)の中で意思確認はしてるんだけど。ひとつの方針というか、道として、久慈が作ってくれて、そうやってくれるっていうのは。そういう担当をつけさせてもらってやっていって、何かあったら、もちろん俺らに質問してくれてもいいけど、久慈には聞きやすいかなって。
-バントのミスが減れば、1点を取るチャンスも増える
矢野監督 バントってさ、点になるならへん以外に、流れが変わるから。失敗してマウンドに上がったら、やっぱり気持ちの中で何かちょっと引っかかって投げてしまうこともあると思う。だから、チームも自分も助けるというところでは。バントが成功して点取れないって、流れはあまり向こうにいかないんだけど、バントを失敗してマウンドに上がるのは、流れが動きやすいから。前のランナーが足の速いランナーでバントを決められるような状態やったらいいけど、ピッチャーやったらバントって、相手が確率の高い守備シフトを敷かれて、それでもなおかつバントを決めないとアカンということは、それなりのちゃんとした技術がないと状況的には決まりにくい。より自分を助ける意味でも、チームを助ける意味でも、おろそかにできない作戦だから。もちろん野手もそうなんだけど、特に先発ピッチャーはそういう意識を持ってやってもらいたいというところでね。
-藤浪の来季は
矢野監督 先発でやっていきたいなと思っているよ。たださ、今年やれたというのが、あいつの中でね。シンタロウ自身のことも考えて、チームのことも考えたときに、後ろの方がまたハマるんかなとなってときには、それはこっちが判断するしね。ただ、チームのバランス的に考えても、今の時点では先発の方が、どっちのためにもなるのかなと思っている。先発をやっていて、中というのはいけるかなと。中をやってて、いきなり5イニング、シーズン途中もあったけど、投げるというのはなかなか難しいから。先発でと。
-今季最後は先発
矢野監督 今までの感じよりかは全然というか。いい状態になっているしね。シンタロウ自身も自分の可能性というかね。今までは自分に対する期待というのは見えなかった部分がある時期もあったけど、今は自分に対する期待もね。状態で、この秋も練習に入れているから。あいつの中の楽しみも増えているしね。もちろん、俺らも同じだからね。いい形で、ここまで入れた。それもチームの事情やけど、中継ぎをやれたというのはプラスやし。数字的に勝ちがいっぱい付いたとか、そういうシーズンではなかったけど。新たなシンタロウのね。第何ステージか、わからないけど、そういうのの土台にはなりうる年やし、それにしてほしいなと思うよね。こっからまた先発で勝ってたときのようなものがまたいければ、チームは助かるし、あいつ自身ももちろん高いところを目指していると思うんでね。そこにたどり着ける最初の年にしてもらえたらなと思う。
-監督が考える投球の課題
矢野監督 オレの望みは基本は真っすぐなんだけどね。これは変わらない。基本は真っすぐなんだけどオレのイメージで言えば、スライダーももうちょい縦の方がいいと思ってんねんよ。縦気味の方が。横に流れるのは抜けたり引っ掛かったりの幅がデカくなるから。斜めに曲がる形ならベースの幅の中で空振りもとれるし、バッターも見極めにくい。で、肘も上がってくる。真っすぐも縦に来る。フォークもたたきやすくなる。っていうのがあるからスライダーって横に曲げるイメージがあるけど、オレ的には斜めに曲げてほしいなって。斜めに投げたら全部良くなるし。で、真っすぐ、スライダーだけではやっぱり3回り目とか厳しい。力も状態も落ちてきて、そんなコントロールでバシバシいくピッチャーじゃないんだから。そういうところで言うとフォークの精度。今年途中、最後またフォーク自体は途中の方が良かった時期はあったんだけど、でもいい時期はあったから。その3つをどう組み合わせるか。真っすぐ、スライダーだけではしんどい。オレのイメージでは真っすぐ、縦への外スライダー、そしてフォーク。っていうのが3つ投げられれば、もっとイニングも稼げるし、バッターにとってももっと嫌な感じになるから。やっぱり真っすぐ、フォークだけでも長いイニングは難しいから。その3つを絡めて。
-縦のスライダーの方が空振りなどにもつながっていく
矢野監督 だから例えば低いかなっていうのでも空振りをとれたりする可能性もあるんだけど。横にずれる見極めがしやすいもんな。ボールってなったら手を出さんでいいからね。縦の高さって結構見極めにくいんよ。フォークとかスライダーとかでもテレビを見てて、なんであの高さで振るのっていうのあるけど、あれはベースの中にあるから振るのね。あれがベースの中から外れたら振れへんねん。やっぱバッターって見極めにくいねん。人それぞれスライダーってあるからあれなんやけど、ダルビッシュとかすごいのはベース板のなかでこうカーブっぽいんだけど、ナナメにこうタテに落ちるじゃん。あれは右でも左でも見極めにくい。横に曲がるスライダーって左は対応できるから。ナナメに行くイメージで投げていくのが、まっすぐも全部良くなるし見極めがバッターしにくい。で、投げミスもストライクに変わる可能性がある。スライダーの横の曲がりの投げミスは単なるボールでしかない。無駄な1球になりやすい。
-秋季練習では本人にそういう話も
矢野監督 いや今たまたまそういう話になったから、そう言っただけで。前にもシンタロウには言ったことあるんよ。シンタロウにはスライダー斜めの方がいいんちゃうか? って。コーチ時代にもしてるんだけど。その方がバッター嫌やぞと。今みたいな話。あいつも今日みたいなキャッチボールのカーブっぽいのとかしてるんだけど。
-監督はメジャーも見てる
矢野監督 いやめちゃめちゃ見てるわけじゃないけど、やっぱりダルビッシュとか、マー君とかやってたら見たくなるやん。やっぱりオレはキャッチャーだから、キャッチャー目線で野球みるやん。このボールあったら楽やな、とか。このボールやったら振っちゃうよな、とか。ここでこのボールいったかとか。やっぱり結果的にはみえるから、こうやって、こうやって、いったんだなとか。こういう投げ方してこういうボールになったとか。このピッチャー苦しんでいるのは、こういう感じちゃうかなとか。野球の見方がキャッチャーだから。キャッチャーに話聞けば面白いと思うけどね。いろんな話があるから。オレ以外のキャッチャーに聞けば、また違う考えや発想がある。