西武ドラフト6位指名の東農大北海道オホーツク・タイシンガーブランドン大河内野手(22)が、同郷の先輩の背中を追いプロ入りを果たす。26日、東農大世田谷キャンパスで、契約交渉を行い契約金3000万円、年俸700万円で合意した。会見に臨み「(指名)順位に関係なく開幕1軍を目指したい。目標とする山川穂高選手のようなパワフルな打撃を見せたい」と、同じ沖縄出身の大先輩の名前を挙げたのは、理由があった。

昨年末、意を決して話しかけたことがあった。沖縄・宜野湾で開催されたカウントダウンライブイベントで、トイレにいくと山川を発見。「山川さんですか?」。勇気を振り絞って話しかけると、快く写真撮影に応じてくれた。ソフトバンク周東の後輩で同じ大学に通っていること、プロ野球選手を目指していることを伝えると、「頑張って、こいよ」とエールをもらった。宣言通り、プロ入りを果たし、しかも同じチーム。「打撃に関してはすべて吸収して、一緒に山賊打線を組めるように大きく成長して入っていきたい」と早くも弟子入りを志願した。

日本列島の南から北への大移動でつかんだプロへの道だった。北緯26度に位置する沖縄・うるま市の石川高から、同44度の北海道・網走市の同大へ入学。12月でも20度以上の南国から、氷点下20度以下も記録する北の大地では、何よりも気候に苦労した。「寒さにはこの4年間通じても慣れなかった。なかなか手がかじかんでプレーがしにくくて、アップを十分にしないと体が動かなくて苦労しました。寒いとけがをしやすい、そういう意味で自分の体のコンディションに気を使うようになりました」。4年間、寒さとの戦いも耐え抜き続けたから、今がある。

本拠地・所沢のある埼玉県には初めて足を踏み入れる。「打てて、守れて、走れる選手。そういうトリプル3というタイトル取れるようなバランスのとれた、球界を代表するような選手を目指していきたい」。真っすぐ前を見据えて、言い切った。【栗田成芳】(金額は推定)