みやざきフェニックス・リーグで阪神井上広大外野手(19)が同学年のヤクルト奥川とプロ初対戦した。昨夏の甲子園決勝では履正社の4番として「高校四天王」の一角で星稜のエースだった右腕から逆転3ラン。アマと同じく4番で対決したが、2打数無安打に封じられた。ともに来春1軍キャンプ招集の可能性があり、刺激し合って次は1軍の舞台でリベンジする。

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リベンジ返しを食らった。463日ぶりの再戦は宮崎で実現。2回先頭。井上は足場を慣らすと、マウンドの奥川を見据えてバットを構えた。スライダーを見逃し、2球目。真ん中高め146キロ直球を打ち返した。打球は左翼へ角度良く上がったが、渡辺のグラブに収まった。5回は追い込まれた後、外角高め147キロにバットは空を切った。2打数無安打。プロ初対戦は奥川に軍配が上がった。

「(初回は)差されていたんですけど、しっかりと捉えてレフトフライになったことは良かったかなと思います」

結果より修正できた内容を前向きに振り返った。初回2死一塁の打席では、走者の小野寺が盗塁死。2回は仕切り直しだった。初回は直球を2球見逃した後、3球目の148キロ直球に手を出して振り遅れ気味の空振り。短い時間でタイミングを微調整し、振り負けず左翼まで飛ばした。1年ぶりの対戦には「元からすごいので」と、奥川の能力を改めて実感した。

履正社の井上と星稜の奥川。高校時代から続くライバル関係は自身の成長に欠かせない。初対戦した19年春のセンバツは4打数無安打だったが、同年夏の甲子園決勝は逆転3ランでリベンジした。通算3度目は奥川に屈し「自分ももっと頑張らないといけないなと感じました」と少ない言葉に悔しさをにじませた。

平田2軍監督は奥川の投球を評価した上で、同じ高卒1年目の井上、遠藤、西純、及川らにハッパを掛けた。「奥川がここで投げてきて、いい刺激になった。これからお互いに1軍でしのぎを削れるような選手にならないといけない。これは負けてられないと思ってくれればいい」。北川打撃コーチはオフの仕上がり次第では来春1軍キャンプに推薦すると明言している。次は1軍の舞台での対戦へ-。井上はこの悔しさを糧に、また1つ成長していく。【奥田隼人】

◆高校時代の井上VS奥川 井上は履正社の主砲として、エース奥川を擁する星稜と昨年春夏と甲子園で対戦。春は1回戦で顔を合わせて4打数無安打2三振。0-3の9回1死一、三塁で投ゴロ併殺に倒れ、最後の打者となり「変化球の切れが、今まで見たこともない投手だった」と脱帽した。雪辱を期して再戦した夏の決勝は1点を追う3回に「打った瞬間に確信した」とバックスクリーン左へ逆転3ラン。試合は5-3で履正社が勝ち、春夏通じ初優勝。「やっと勝てたのでうれしい気持ちでいっぱいです」と白い歯を見せた。