広島鈴木誠也外野手(26)が9日、マツダスタジアムで契約交渉に臨み、3000万円増の3億1000万円でサインした。球団野手では史上最高年俸となる。

今季は打率3割、25本塁打、75打点をマーク。打率3割と25本塁打をともに5年連続は王、落合、小笠原に次いで4人目。高次元の打撃を見せる一方、2年連続Bクラスの5位に責任を感じ、チーム変革の必要性を口にした。(金額は推定)

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球団野手最高年俸に責任感が増したのか、会見場の鈴木誠の表情は引き締まっていた。チームの来季目標を聞かれて「優勝を目指している」と前置きした上で、現状を冷静に見つめ、あえて公の場で厳しい言葉を発した。

「今年のチーム状況では(優勝は)難しいんじゃないかなと。優勝していたときのチームには程遠いと思う。今年5位に終わっているので、何とか、まずはしっかりAクラスに入れるようにやっていきたい」

自分に向けた言葉でもある。今季はコロナウイルス感染拡大の影響で開幕が遅れ、無観客や人数制限が設けられた。シーズン序盤からチームは低迷し、自身も「やる気の浮き沈みというのが出そうだった」と感情が表に出てしまうこともあった。史上4人目となる5年連続打率3割、25本塁打にも「僕が打たなくて負けた試合も数多くあるので、いろいろ感じる部分はありました」と責任を感じている。

シーズン終了とともに来季に向けて動きだしている。会見では「12月いっぱいは何もしません。1月31日ギリギリまで休みたいと思います」と笑ったが、さまざまなトレーニング法を積極的に試している。引き出しを増やし、そこで得た情報を球団に還元。新たなトレーニング器具の導入も決まった。

来季はバットだけでなく、言動でチームを引っ張っていくつもりだ。「いろんな面でやりやすい環境をつくれたら。僕も若いときに新井さんや黒田さん、ほかの先輩たちがやりやすい環境をつくってくれた。今度はそれを逆にさせてあげたい。その子たちが活躍してくれたら、また強いカープが戻ってくるんじゃないかと思うので頑張りたい」。次代の広島を担う覚悟が表情ににじんだ。【前原淳】

〇…鈴木誠はポスティングシステムによるメジャー挑戦について「(球団と)少しはしましたけど、深くはしていない」と話すにとどめた。昨年オフに日刊スポーツの取材で、「チャンスがあれば、行きます」とメジャーへの思いを明らかにしていた。 米大リーグは今季、コロナウイルス感染拡大により試合数削減や全試合無観客、マイナーリーグ中止などの影響を受けた。鈴木球団本部長は「マエケン(ツインズ前田)のときもそうだけど、基本的にメジャー志向の選手はできる限り応援してあげたい気持ちはある。その時の情勢の話をしながら、本人が来年行きたいですと言えば(話を聞く)」と今後も話し合いを重ねていく姿勢を示した。

▼広島鈴木誠が年俸3億1000万円で契約更改。広島の野手では20年菊池涼介の3億円を上回る球団史上最高額になった。広島の3億円到達は前田健太、黒田博樹、菊池涼介に次いで4人目。来季は27歳になるが、野手で27歳シーズンまでに3億円到達は98年イチロー(25=オリックス)00年松井秀喜(26=巨人)17年山田哲人(25=ヤクルト)同筒香嘉智(26=DeNA)に次いで5人目。