日刊スポーツの名物編集委員、寺尾博和が幅広く語るコラム「寺尾で候」を随時お届けします。
新庄さんがプレーするのを生で見たのは、日本ハム時代以来だから14年ぶりのことだった。神宮球場でトライアウトを受ける姿を追ったのは取材陣だけではなかった。
どこからともなく無観客の球場に女性、子供の「ツー(剛志)さ~ん!」と大きな声が舞い込んだ。球場外にいた“追っかけ”からの黄色い声は、トライアウトでは極めて珍しい。
テレビなどメデイアの注目度は「全国区」で“スター新庄”が証明された。トライアウト後に「自分に勝てた気がする」とコメントした裏には本心が隠されていた。
帰国前に「簡単に復帰できるわけはないと思っています」ともらし、続けて「50(歳)も手前で一から体作って挑戦するやつはいない。でもそこに挑戦したい」と秘めた決意を明かしていた。
異国で鍛えた逆三角形のボディーは、孤独のトレーニングの成果だ。現地では動体視力の低下を気にしていたが、それも克服して実戦で適時打を放ってしまう勝負運が、ジス・イズ・シンジョー!
阪神入団時から取材を続けてきたが、「プリンス」や「宇宙人」と異名を取ったパフォーマンスは語り尽くせない。「アホちゃうか…」と思うこともしばしばだったが、これと決めたことに新庄さんは常に純心で本気になる人だった。
「夢にたとえるなら、トライアウトを通じて、みなさんに明るくなってもらうのが夢です。『このアホ、なんかおもろいことやってるな』って笑顔になってほしいんです」
もう一つ、彼は「子供たちに夢を与えたい」とも話していた。高知安芸キャンプの休日に海辺で恋愛論を語り合ったのはルーキー時代だっけ。お互い年をとった。アラフィフの挑戦。視聴率のとれるドラマの続編を、楽しみに待とう。【編集委員・寺尾博和】



