ロッテの場内アナウンス担当・谷保恵美さん(54)が日刊スポーツのインタビューに応じた。コロナ禍で未知のことも多かったという自身30年目のシーズンを振り返った。今回は後編。【聞き手=金子真仁】

-例年にはないような注意喚起のアナウンスもありました

谷保さん いろいろなことを想像して、たくさんのアナウンスを入れていきましたが、お客様が想像以上にルールを守っていただいたので、すごくありがたかったです。そんな中でも(審判への)リクエストの時は、やっぱり声が出るかなと。注意喚起のアナウンスはシーズン途中からですね。今年は注意だらけになっちゃうのかなって心配してましたが、ルールを守ってくれる方ばかりでした。

-今季はアナウンス室も換気を?

谷保さん 換気しました。出入り口の扉と、グラウンド側の窓を開けて、空気が抜けるように。試合中も開けっ放しなのは初めてです。ネクストバッターズサークルが近いので、攻撃の時は開ける幅もなるべく少しにして。素振りの雰囲気を壊さないように。

-コロナ禍での喉のケアはどんなことを?

谷保さん 特に今年は、ぐっと連戦が多かったじゃないですか? 通常以上に気をつけてましたね。いつもやることの倍はしました。基本の手洗い、うがいもいつもの倍。のどあめもたくさん持って歩いてましたし、マスクも必ず5枚くらい持ってました。通勤の混雑の多さとか、ちょっとでも危険と感じれば取り換えましたね。旅行や帰省ももちろんしませんでした。

-10月から11月にかけ、西日で一時中断した試合がありました

谷保さん この時期はけっこう草野球の大会でアナウンスをしていたので、まぶしいのは知っていました。でも、打席でまぶしいのは知らなかったです。審判さんから放送を頼まれて、とっさにアナウンスしました。アドリブ? はい。これは明日も明後日もあるぞと思って、2度目の時は文言を準備していました。

-予期せぬアナウンスはよくありますか?

谷保さん いろいろと想像して、けっこう考えてはいるんです。地震とかは想定して避難訓練もするんですけど、今回の西日は想定していなかったですね。

-30年目のシーズンを終わって感じることは

谷保さん 連戦が多くて、乗り切れるかなという思いだったんですけど、試合消化できてよかったなという感じですね。球場も特に大きなトラブルもなかったですし。チームはあとちょっとで残念でしたけど。

-来年は31年目。後進の育成もそろそろ?

谷保さん そういう話はしてるんですけど、誰にしようとか、どう選ぼうとかは決めていなくて。こういう時代なので、1人で全部やるというよりは、必ずDJさんとかMCさんがいるので、試合進行ができる人を。野球に集中できて、しっかり試合進行ができる後輩を育成していきたいなと思います。仕事への気持ちは声に伝わるので、感謝の気持ちでアナウンスしてほしい。そういう人を育てたいですかね。

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