“甲斐キャノン”が完全復活を誓った。ソフトバンクが甲斐拓也捕手(28)が16日、鹿児島・鹿屋市で行っている自主トレを公開した。

日本シリーズで6盗塁刺などの大活躍でMVPを手にした18年以来、3年ぶりとなる盗塁阻止率リーグトップ奪還を目指す意気込みを明かした。「これまでは捕手1人だけの作業ではないので、あまり気にしてなかったところはあったけど、今年は1番が取れるようになりたい」。

今年はチームのライバルでもある2年目の海野とともに、巨人の山瀬慎之助捕手(19)も一緒に自主トレを行っている。山瀬から申し出を受けて合同トレが実現したが、その強肩ぶりに驚いている。「ボクが今まで見てきた中で、断トツで肩が強い。衝撃的です」。今年20歳を迎え、名前も同じで「慎之助2世」とも評される強肩が売りの捕手に、大きな刺激を受けている。

この日の練習では、二塁への送球タイムを測った。海野が最速1秒8でトップ。甲斐と山瀬が1秒81で並んだ。「スローイングも、もう一度見つめ直してやりたい。形、動き、スピードも大事。スローイングメニューは毎日入れている」。自己最速1秒71を誇る元祖“甲斐キャノン”の闘争心に火が付いた。

今季は全143試合出場も視野に入れる。「全試合出場したい気持ちもあるし、キャリアハイが残せるように、これまでの自分をひとつ、ふたつ超えられるように自主トレに臨んでいる」。盗塁阻止率のパ・リーグ記録は、79年に近鉄梨田昌孝がマークした5割3分6厘。甲斐自身が持つ18年盗塁阻止率4割4分7厘超えに、スローイングのレベルアップは欠かせない。若い選手から大きな刺激を受け、ホークスの背番号19がリーグを誇る捕手への変身を目指す。【浦田由紀夫】

▼盗塁阻止率 捕手の守備力を示す指標のひとつ。盗塁を企図した数に対し、どれだけ阻止したかを表す(阻止数÷企図数)。盗塁阻止率は4割を超えれば一流とされ、シーズン最高は93年の古田(ヤクルト)が記録した6割4分4厘。なお、捕手の守備での規定試合数は、チーム試合数の2分の1以上(端数は四捨五入)で、昨季は60試合。