セ・リーグは19日、理事会を開き、巨人から今季暫定的にDH制を導入することが提案されたが、他球団が反対し、同案の採用は見送られた。

阪神谷本球団副社長兼本部長は「十分に各球団からの意見を持ち寄って話し合った結果、ジャイアンツさんの提案は採用しないという結論に今日は落ち着いてます。ただ、今後不測の事態というのはあり得るので、その時に再度、いろんな角度から検討するのはあり得ます」と話した。

DH制は昨年11月の日本シリーズでコロナ禍で選手の負担軽減のためにソフトバンクが提案し、巨人が同意して採用された。同12月のセ・リーグ理事会でも巨人が山口オーナーの文書で今季の暫定的導入を提案したが、他球団は反発していた。

谷本副社長は「大きな議論のテーマとしてはセ・リーグの価値をいかに向上させるかというテーマの中で継続的に話し合いを行っている。その1つのメニューとして提案されましたけど、今季ということにはなっていません。セ・リーグの価値向上というのは永続的な話。腰を入れて各球団からの意見も持ち寄って、今後の各球団を担う若手社員の意見なども聞きながら永続的にやっていきましょうという形になってます」と話した。

◆19年10月24日 日本シリーズでソフトバンクに4連敗した巨人原監督がオーナー報告をした後「セ・リーグにはDH制がないからね。DH制は使うべきだろう。相当差をつけられている感じがある」と提言。教育的な側面でも「レギュラーが9人から10人に増える。少年たちだっていいと思う」と必要性を語った。

◆20年11月18日 ソフトバンクが、コロナ禍で過密日程になったことから投手の故障リスク軽減を理由とし、NPBに日本シリーズの全試合DH制を提案。NPBは翌19日の臨時実行委員会で今年限りの特例として決定し、85年阪神-西武のシリーズ以来35年ぶりの実施を発表した。巨人以外のセ球団から異論も出たが、最終的に斉藤惇コミッショナーが判断した。

◆同11月25日 日本シリーズでソフトバンクが2年連続の4戦全勝。セのチームは13年第7戦から、日本シリーズのDH制採用試合で21連敗。

◆同12月14日 巨人がセ・リーグ理事会で、来季の暫定的なDH制導入を提案。山口寿一オーナー名で、コロナ禍の中で投手の負担軽減、野手に出場機会を与えるなどの理由を挙げて提案書を提出したが、賛同を得られず見送られた。