侍ジャパン稲葉篤紀監督(48)が「同志マー君」に大いなる期待を寄せた。3日、沖縄で約1年ぶりとなる球団視察を開始。楽天に8年ぶりに復帰する田中将大投手(32)について「北京を戦った同志」と現役時代にともに出場した08年五輪の戦友を評した。投手陣に与える刺激、対抗する打者のレベルアップと有形無形の波及効果があるとした。代表候補のフロントランナーとしてシーズンを注視する。

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稲葉監督の心には、日の丸を背負う田中の勇姿が刻まれている。チームに合流していないため、キャンプ視察で対面は実現しなかった。だが、先日の入団会見での「断る理由なんてないし、出たいと思ってます。金メダルを取りたい」との熱き肉声は、ひしひしと伝わった。

稲葉監督 非常に重たいし、北京を戦った同志ですから。その悔しさを持っているのも、ジャパンに対する熱い思いも伝わってきた。素晴らしい会見を聞かさせていただいた。

現役で出場した08年北京五輪。金メダルの夢破れ、何色のメダルも手元に残らなかった。あの悔恨を抱え、今もなお現役で戦う選手は少ない。その中で、最高右腕の看板を張る田中の印象は鮮烈だった。「あの若さで3、4試合か中継ぎで投げて、たしか9三振ぐらい奪っている。かわいいところはあったが、いざマウンドに立つと非常に気持ちが出ていた。守っていてそれをすごく感じた投手でした」。当時、19歳は救援で3試合を投げ、7回を無失点で9奪三振。データもほぼ、そらんじた。

田中の存在がすべてを変える。「経験が豊富なので、話を聞いてみたい若い子はたくさんいると思う。(熱い)気持ちを出してくれると、他の選手もそうなってくれる」。この日、あいさつに来た投手陣も田中の名前を口にしたという。相対する打者をも昇華させる。「僕自身を成長させてくれた投手だった。打者がどう打つか。成長できる投手の1人であるし、相乗効果はあるでしょう」。通算83打数20安打3本塁打、打率2割4分1厘。打者稲葉を高みに上らせた実体験が、五輪までの約半年で再現されると期待する。

楽天石井GM兼監督へのあいさつで筋を通し、近日中に田中に連絡を入れるという。「先頭に立って球界を引っ張っていく存在でいてほしい」。常々「五輪の借りは五輪で返す」と口にしてきた。同志と再び戦えれば、忘れ物の金メダルが手中に近づく。【広重竜太郎】