穏やかな河村さんは初舞台でも落ち着いていた。ロッテの主砲・安田尚憲内野手(21)からいきなり直球で空振りを奪い、周囲をうならせた。「ある程度威力もあったと思う。フォークもすごく落差があったので、その2つは自信になりました」。ドラフト4位・河村説人投手(23=星槎道都大)は8日、初の打撃投手を終え、満足げだった。

今季も4番で期待される安田を、192センチの長身を利して制した。22球で安打性は2本のみ。「縦回転でホップ量が高いので、角度あるところから投げられれば打者が振ってくれる」と自己分析する直球と、よく落ちるフォーク。個性を出し切り、安田から3度の空振りを奪った。

井口監督も驚いた。球種を事前告知しての勝負。「フォークって教えておきながら、安田が空振りですからね。それだけ落差があるんでしょう」。ソフトバンクの若き本格派・泉の活躍を、河村に重ねる球団関係者もいる。将来的には先発を志すが、まずはリリーフ適性を示した。

同期から「河村さん」と慕われる。都内の大学を中退。地元北海道で再入学した。同じ大卒新人より1歳年上になるが「あまり壁を作らずやっていきたい」と願う。入寮時に持参したキリンの置物もいいネタになった。「どれだけ通用するかを、自分の中で勉強しながらやっていきたいです」と、マイペースで自己最速150キロへ近づける。ベテランのような味わいの、ロッテの河村さん。じわじわ染みる投手になりそうだ。【金子真仁】