巨人の「サウスポー・バトル」が白熱している。21日、今村信貴投手(26)と高橋優貴投手(24)がブルペン入り。隣のレーンに並び“一騎打ち”で投げ合った。

2人を後方から見守った宮本投手チーフコーチは「どっちが強い球を投げられるか。一流は3球続けられる」と闘争心と競争心をあおる。高橋が思い切り腕を振る。乾いたミットの音を合図に今村が投球モーションに入る。同コーチは「このボールは(高橋)優貴の勝ち」。

交互に腕を振る。互いを意識した投げ合いを繰り広げた。今村が「ラスト、お願いします」。納得がいかず“おかわり”して、宣言から7球目の87球で投球を終えた。3歳下の高橋も90球に差し掛かった。「負けたくない気持ちを常に持っている。アピールしなければ、この世界は生き残れない」と人一倍の負けん気が習慣になっている。1人旅となった終盤は、杉内投手コーチからスライダー軌道のアドバイスを受け、105球で投球を終えた。

2人の背中には左腕の歴史が宿っている。

今季から今村が26番、高橋が47番を背負う。西武内海、山口2軍投手コーチの記憶がよみがえる。互いを認め合い、切磋琢磨(せっさたくま)した。エース、中継ぎエース、それぞれの持ち場で投手陣を引っ張った先輩の背中を追う。

捕手後方の遠目に2人の“戦況”を眺めた原監督は、もう1人の左腕もバトルに加えた。「2人ともいいですね。いいと思います」と評価し「眠っているのは田口ぐらいだな」。田口は1軍の宮崎キャンプ序盤に右太もも裏の張りで離脱。一時、帰京して治療、リハビリに専念し、20日に宮崎キャンプの3軍に再合流した。今オフは今村、田口、高橋で合同自主トレを集結し、徹底的に走り込んだ。競い合って蓄えたエネルギーを白球に込める。【為田聡史】