4番奪取をアピールする、ロッテ安田尚憲内野手(21)の“1号”だった。DeNAとの練習試合、3回2死の第2打席。上茶谷のスライダーを右中間芝生席へ突き刺した。「いい結果になって良かった」としながらも「もっとアピールしていかないといけない」とすぐに切り替えた。

実戦18打席目での1発。井口監督は「変化球ですからね」と素っ気ない。「直球をしっかり捉えないと。課題はまっすぐなので」。昨季はレアードの故障離脱もあり、シーズンの大半が「4番三塁」だった。指揮官はオフに理由を明かした。「レアードが抜けてから正直なところ、4番を打てる選手がいなかったですね。井上もそこまで調子良くなかったですし。これなら安田を4番で育てようと、4番になりました」。

今季も4番起用の可能性はある17年のドラフト1位。数年後の不動の4番の筆頭候補ではある。だがもちろん、確約された座ではない。「常にポジションを奪っていく立場なので」。飛躍を期待された1年前も、今も、思いは同じだ。「常に必死に、自分のいいところを見せようと打席に立っています」と懸命だ。

自主トレではソフトバンク柳田、キャンプでは松中臨時コーチに師事し、強い打球は増えてきた。「去年のままではダメ。悔しい気持ちを忘れずに」と言い続ける。昨季の打率2割2分1厘、6本塁打では自身も周囲も、納得しない。3月上旬に合流するレアードに勝つために、やるべき課題は明白だ。150キロを、打ち返す-。【金子真仁】