阪神矢野燿大監督(52)の執念采配が、サヨナラ勝ちを呼び込んだ。「こういう試合だからこそ勝ちたかった」。0-0の9回裏、8番からの攻撃で1点をもぎ取った。先頭の代打原口が四球を選び、代打北條が投前犠打を決めた。「ジョー(北條)もその前からドキドキしてベンチでね。ずっと準備してたし、あそこでバントを決めるのも簡単なことじゃないんで」。

8回まで柳に2安打に抑えられた。だが最終回に初めて二塁へ走者を進めると3打数無安打で、打率1割2分1厘の近本に代打陽川を告げた。近本への代打は昨年7月16日のヤクルト戦以来3度目だが、今季は開幕からチームで唯一フルイニング出場だった不動の1番。だが、相手の左腕福も考慮し、勝負に出た。その陽川は申告敬遠で一、二塁。最後は山本が決めた。

継投も攻めの采配で今季初めて0を9個並べた。8回1死一塁、打者福留の場面で0封の先発青柳から左腕岩崎へスイッチ。岩崎は福留を空振り三振、阿部を右飛に斬り、9回の守護神スアレスにつないだ。

前日はコンディション不良とみられる岩崎を回避し、2点リードの8回に逆転負けを食らった。矢野監督も「(岩崎が)投げて僕もホッとしている。いてくれるというのはね。本当に大きな存在」とひと安心だ。

最後は脇役たちが束になって激勝。「引き分けでも、ムード的には昨日の流れを引きずってしまう部分もあったかもしれない。後から出て行った選手がこういう試合をつくってくれたことに心強く思う」。分厚くなった選手層を実感する1勝になった。【石橋隆雄】

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