新ヒーローが誕生した。昨秋王者で富士大(岩手)の最速148キロ右腕、金村尚真(3年=岡山学芸館)がノースアジア大(秋田)との開幕戦に先発。9回を133球の力投で完全試合を達成した。17年の富士大・鈴木翔天(そら)投手(現楽天)以来で、北東北大学リーグ史上2人目の快挙だった。さらに、リーグタイ記録の1試合18奪三振もマーク。チームは2-0で勝利し、3年ぶり21度目の春制覇へ大きな弾みをつけた。

右手で小さくガッツポーズをつくった。9回2死。金村は最後の打者をスライダーで三振を奪った。リーグ史上2人目の偉業達成に「8回から意識していて、最終回は緊張した。捕手の配球が良かったです」と先輩で女房役の佐藤大雅捕手(4年=北海)に感謝し、試合終了後は力強くグラブタッチを交わした。「感情にはあまり出さなかったけど、内心はめちゃくちゃうれしかった」と笑顔で振り返った。

雨中の投球でも一切乱れることはなかった。この日の最速144キロ直球に多彩な変化球を操り、5者連続三振を含む毎回の18奪三振。最遅90キロ台のカーブを投じるなど、相手打線に的を絞らせなかった。「ゾーンを意識して(悪天候の中でも)最後まで集中力を切らさずに投げられた。インコースも使えたので、外の変化球が効果的だった」と納得の表情を見せた。

昨秋リーグ戦は4勝1敗で防御率0・82。2年生ながら最優秀選手賞に輝き、チームのエース格へと成長した。今冬は下半身トレーニングを徹底させ、左足を高く上げる投球フォームに変更し「体の開きを抑えられて球速が上がった。ボールへの伝わり方も違う」と一冬の手応えを実感する。

金村は真のエースとしての自覚を口にした。

「この結果(完全試合)に満足せずに、次もチームが勝つための投球をしっかりやっていきたい」

チームの3年ぶりとなる春季リーグ制覇に向けて、金村がフル回転していく。【佐藤究】

◆金村尚真(かねむら・しょうま)2000年(平12)8月26日生まれ、沖縄・豊見城市出身。上田小3年時から野球を始め、豊見城中時代は軟式野球部に所属。岡山学芸館では1年時からベンチ入り。2年秋に県大会優勝、3年夏に県大会準優勝。富士大では1年春からリーグ戦に出場。176センチ、78キロ。右投げ右打ち。血液型O。好きなプロ野球選手はツインズ前田健太。