魂の一打とリードで連敗ストップだ。日本ハム石川亮捕手(25)がロッテ戦(ZOZOマリン)の2回に左中間へ決勝の適時二塁打を放った。同点に追い付かれた直後に試合の流れを引き戻し、6回は3点目につながる右前打も放った。守っては先発池田を好リード。攻守で輝きを見せた8年目捕手の活躍で、チームは連敗を3で止めた。

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勝利の立役者は、静かに喜びをかみしめた。石川亮は試合後、表情を引き締めて言った。

石川亮 とにかく勝ちたかった。自分の置かれている立場もある。他のキャッチャーに負けてないという僕の中での自信もありましたし、出た時は、それを見せるだけと思っていた。

今季2度目のスタメン出場だった。1軍定着を目指して、結果を出すという強い決意が最高のパフォーマンスを引き出した。

2回の決勝打は、無欲で放った。1死一塁の状況でつなぎの意識しかなかった。この日の第1打席は、今季通算3打席目。初球に見逃した146キロ直球も「球が速く感じるなと思った」と、追い込まれた後は打つポイントを前にし、タイミングも早めた。意識は「ずっと右方向」だったが、甘く入ってきた146キロ直球にアジャストすると打球は左中間を破った。一走の渡辺が悠々と生還できる長打で、試合の流れを力強く引き寄せた。

リードも抜群だった。初めてバッテリーを組んだ池田の長所を引き出して7回1失点の好投に導いた。試合前から映像で池田の特長を予習していた。「とにかく池田さんの良さを出すためには、速いスライダーと両サイドの真っすぐをうまく使う」。ZOZOマリンの浜風に乗って鋭く曲がったスライダーと、内外角をきっちり突ける真っすぐを軸にロッテ打線を翻弄(ほんろう)した。

昨年12月の契約更改では「危機感を感じる」と話した。13年ドラフト8位で帝京から入団し、今季で8年目。気付けば、8人いる捕手陣の中で3番目の年長者となった。今季を背水のシーズンと位置付けて「存在感を見せたい」と臨む中でチームの連敗を3で止める活躍。栗山監督も「すばらしかったね。(石川)リョウの状態がいいのは分かっていたんだけど、すごくリードもさえていたね」と絶賛した。

それでも、石川亮は気を緩めない。「こんなにうまくいくことはないんですけど、やっぱり(活躍の)ムラを少なくする。より気を引き締めて、また頑張りたい」。自信を体現して、チームに貢献していく。【木下大輔】

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