広島5年目の高橋昂也投手(22)が6回途中3失点(自責2)の粘投で、3年ぶりの白星を手にした。

19年の左肘のトミー・ジョン手術を乗り越え、プロ初勝利を挙げた18年6月28日の巨人戦以来、1031日ぶりのプロ2勝目。不屈の左腕が力強いG倒で復活し、引き分けを挟んだチームの連敗を3でストップさせた。

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高橋昂が待ちに待った勝利をもぎ取った。実に1031日ぶり。ベンチで勝利の瞬間を見届け、ナインを出迎えた際に、佐々岡監督が背後からガチッと祝福の両肩をもまれると、ようやく笑みをこぼした。18年以来、3シーズンぶりとなる待望の復活星だ。「長かった。つらい日々がほとんどだったんですけど、いつか1軍で投げることを夢見て、頑張ってきた。よかった」と喜びをかみしめた。

踏ん張った。初回無死一塁から坂本に先制2ランを被弾。2回には守備のミスも重なり、3点目を奪われた。だが3回以降は立て直し、追加点を許さなかった。「なんとしてでも打つという気持ちだった」。2点を追う4回2死一、二塁からは、自らのバットでプロ初打点となる中前適時打を放つなど、投打で奮起。逆転勝利を呼び込んだ。

同い年のスターの存在が、モチベーションになっている。「一番尊敬する右投手」というオリックス山本だ。「胸郭や肩周りの可動域を出せたり、肩の安定性だったりも鍛えられて、すごくいい運動だなと思った」。左肘の手術を受けた19年から、ユーチューブなどで山本のトレーニング動画を見て研究する日々。四つんばいの態勢から体をねじり、ブリッジを作るなどの動作を導入。山本が実施している「やり投げ」の練習方法も取り入れた。

ともに1年目で2軍戦で先発で投げ合った際には、「フォームがすごくいいなと思った」と独特の投球フォームをまねしたこともあった。同い年ながら、直接的な面識はないという。「自分がまず同じステージにいくために、目の前のやるべきことをどんどん増やしていけば見えてくる」。1軍での再戦を目標の1つに、リハビリを続けてきた。

長い歳月をかけ、大きな壁を乗り越えた。「これからどんどんチームの勝利に貢献できるように、もっと勝ちがつくように頑張りたい」。完全復活を期し、白星を量産する。【古財稜明】

▽広島佐々岡監督(先発高橋昂について)「本当に粘り強くしっかり投げてくれて、勝ちがついてよかった。チーム全体で昂也に勝ちをつけようという気持ちが伝わった」

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