明けましておめでとう。2013年の主役、阪神ドラフト1位藤浪晋太郎投手(18=大阪桐蔭)がしたためた直筆年賀状を独占公開します。好敵手にして盟友の日本ハム1位大谷翔平投手(18)に宛てた、シンプルな文言にも決意がみなぎる新春のあいさつ。プロとなる新年の門出に2人がクロストークでたっぷり語ります。虎を変え、球界を盛り上げ、日本を明るくする18歳右腕の活躍は、今年も日刊スポーツでお楽しみください。

2013年、藤浪イヤーが幕を開けた。間違いなく日本球界を背負って立つ若武者がタテジマでプロの舞台を踏む1年へ、新春の誓いを立てた。

藤浪 今年はプロになるという意味で特別な年なので今までとは少し違った新年を迎えることになるかもしれないですけど、しっかり自覚を持って過ごしたいと思います。

大谷 今回の件で少し出遅れてしまったので、1軍でしっかり活躍することをイメージしながら、トレーニングを続けていきたいです。

プロ入りへの意気込みはともに力強い。お正月といえば初夢。2人はどんな初夢から、新しい朝を迎えるのか。

藤浪 あんまり初夢は見ないタイプで、見たことはないんですけど。富士山の夢を見られたらいいかなと思います。富士山、タカ、なすびあたりを見られれば。

大谷 自分がしっかり1軍で活躍している姿を見たいです。ピッチャーとしても、バッターとしても、どっちも。

真面目? な藤浪に対し、大谷は熱い。2人が並ぶとどうしても思い出すのが昨年センバツでの直接対決。初戦で激突し大阪桐蔭が勝利したが、藤浪から大谷が放ったホームランは鮮やかだった。ステージを替え、プロではどんな場面で戦ってみたいのか。

藤浪 理想は、お互い投げ合えることが一番ですね。大谷君は純粋にすごいピッチャーだと思っているので、対戦する機会があるなら、できるなら自分としてはピッチャーとして投げ合いたいですね。

大谷 投げ合ってもみたいし、打席にも立ってみたい。高校時代はずっと負けていたので、プロでは勝ちたい。お互い1軍で活躍できる選手になって対戦できたらうれしいので、それをひとつの目標として、心の支えとして頑張っていきたい。

藤浪 バッターとしても、大谷君はすごくいいバッターですし、すごくいい技術を持っている選手なので、対戦できる機会があれば楽しみにしたいと思います。

藤浪は意外にも、打者大谷へのリベンジよりも、投手同士として投げ合いを演じることを熱望した。対決の場は交流戦? 日本シリーズ? どんな舞台になるだろう。

藤浪 こだわりはないですね。シーズン中でも。オールスターとかはもし選んでいただけるのであれば、ですけど。

単純に「ライバル」では説明できない関係にある。2人は3年夏の18U日本代表でチームメート。大谷が4番、藤浪がエースとして世界を相手にした。プロ入りの年にWBCが行われるのはできすぎの偶然か。将来的にはそろって侍JAPAN入りする夢が広がる。

藤浪 日本代表に選ばれるような選手にお互いなれれば、また一緒に代表のユニホームを着られるので、うれしいと思います。

大谷 またそういう舞台に一緒に立てたらうれしいし、楽しいだろうなと思います。野手として(藤浪が投げている)後ろから見ている時も、すごく安心感があって頼もしい存在だった。チームメートとして頼りになる存在でした。

2人が日の丸を背負い、日本プロ野球をけん引する明るい未来が浮かぶ。その第1歩となるのが今年だ。言うまでもない。高校3冠の勝負運を持ち、「勝てる投手」を目標とする藤浪の最高到達点は、タテジマで活躍して和田監督を舞わせることだ。(2面につづく)

 

◆藤浪 VS 大谷VTR 昨年のセンバツ初日の1回戦で激突。両者ともに最速150キロ、2ケタ奪三振をマークしたが、9-2で藤浪の大阪桐蔭が勝った。藤浪は2回、スライダーを4番大谷に捉えられ、右翼へ先制本塁打を許した。4回には田中の適時安打で0-2とリードを許すも、5回から立ち直り12奪三振で完投。大谷は6回に3点を奪われ逆転されると7回には4番田端に2ランを浴びた。9回も暴投や4四死球と乱れ、173球で降板。8回 2/3 を7安打、11奪三振、9失点(自責点5)だった。