無観客試合でも「魂」はこもっていた。日本ハム杉谷拳士内野手(30)がオリックス戦(東京ドーム)の1回に左中間へ2号ソロを放った。「前のめり魂打法」と名付けた1発で、チームの活動再開後の4試合で早くも2本目のアーチ。試合は1-9の大敗で連敗となったが、いつだって“前のめり”で戦う元気印のはつらつさが唯一の光明だった。

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右打席の杉谷がオリックス宮城の失投に、がっついた。2点を追う1回の第1打席だった。0-2と簡単に追い込まれてからの3球目。141キロ直球が浮いたところを、グッと踏み込んで捉えた。打球もグングンと伸びて左中間スタンドへ。2号ソロ。「東京ドームで『魂』を見せることができてうれしいです」。東京出身、名門帝京からプロ入りした元気印は「『前のめり魂打法』でいきます」と、この日も積極果敢なスタイルでチームを鼓舞した。

試合前練習中に行ったイメージトレーニングも功を奏したのかもしれない。一塁側カメラマン席前で行ったバント練習。ボールを投げてもらった左投げの厚沢投手コーチに「宮城で、お願いします」と要望。“仮想宮城”を相手にイメージを膨らませ、立ち上がりの本人に一撃を食らわせた。「宮城投手という素晴らしいピッチャーからホームランを打つことができて良かったです」。このアーチは、2年目の宮城が212人目の対戦で初めて浴びた本塁打にもなった。

二塁守備でも7回に中前へ抜けそうな打球を“前のめり”で好捕し、ジャンピングスローで二ゴロにするファインプレーもあった。栗山監督は「自分の状態を魂の部分が押し上げているように見える。チームに今、一番必要なのは、ああいう思い」と、背番号2の“姿”に希望を見いだす。試合は大敗に終わったが、どんな状況でもアグレッシブに戦う杉谷がいる限り、チームは簡単に沈んでいかないはずだ。【木下大輔】

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