首位交代。そして再交代。上位3チームは1ゲーム差で、相変わらず混戦が続いてます。ロッテ佐々木朗希投手の1軍初先発もあった1週間。どのチームにも、キラリと光るプレーをみせた選手がいる。日刊スポーツの12球団担当記者が独断と偏見+愛情? で選んだ先週の球団別MVPを紹介。パ・リーグ編です。

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【楽天早川隆久投手(21)】記録をどんどん塗り替えていく。16日オリックス戦でプロ初完封勝利。新人完封一番乗りで、ハーラー単独トップの5勝目を挙げた。この日は98球。新人の100球未満完封勝利は11年ぶり15人目。球団では2人目。「1-0」での100球未満は29年ぶり。球団新人で5月までに5勝は、13年則本昂以来2人目だ。前日に2位へ転落したチームを1日で首位へ戻し、石井GM兼監督も「ルーキーだけど(先発ローテの)6人の中に入ってしっかりと連敗も止めてくれる。大きい連敗がないのも彼ががんばってくれているからこそ」と高評価。8試合で5勝2敗、防御率2・82。末恐ろしい。

【ソフトバンク津森宥紀投手(23)】3試合に登板して無失点。登板時はいずれも走者を背負った場面だったが、火消しに成功した。16日の日本ハム戦では同点の7回1死一塁で大田を三ゴロ、四球を挟み、樋口を空振り三振。マウンド上で雄たけびをあげた。通算では20試合で防御率1・23。2年目のサイドスロー右腕が、首脳陣の信頼を積み重ねている。

【ロッテ・レオネス・マーティン外野手(33)】ロッテにとって、未来のエース佐々木朗希投手(19)のデビュー戦となった16日の西武戦は、意味合いの大きな試合だった。試合前に佐々木朗から「ホームラン後のパフォーマンスが見たいです」と頼まれ、初回に11号ソロで一発回答。さらに佐々木朗が同点のまま降板した直後の5回にも12号2ランで勝利投手の可能性を残すなど、球場全体を大いに盛り上げた。3、4月のパ・リーグ月間MVPに選ばれたことも発表された1週間だった。

【西武源田壮亮内野手(28)】バットと足と、グラブさばきで相手を翻弄(ほんろう)した。この5試合全試合安打をマーク。ロッテ3連戦で4盗塁と、足で見せると14日ロッテ戦(ZOZOマリン)ではグラブタッチがさえ渡る。1回無死一塁でロッテ荻野の二盗が一時セーフ判定も、リクエストでアウトにくつがえった。さらに1死一、二塁で二走マーティンが飛び出し捕手森が二塁送球。再びセーフ判定もリプレー検証でくつがえった。いずれも二塁ベースカバーに入った源田がタッチアウトを演出。同日、自身最速今季1号を放つなど、文字どおり「走攻守」で存在感を発揮した1週間だった。

【オリックス吉田正尚外野手(27)】直近6試合は21打数11安打の打率5割2分4厘、1本塁打、8打点と大暴れ。15日楽天戦(ほっともっと神戸)では、2点を追う6回に田中将から左翼席へ起死回生の逆転3ラン。ファンが大興奮したアーチでもバット投げはしない。強振後、バットをそっと置くわけは「スタンドインした瞬間が打撃の完成系」だと説明。「インパクトの瞬間に100の力をぶつけるだけ。フォロースルーは気にしていない」。着弾を見届けると「喜んでもらえたかな」とホッとする。これぞプロ。ファンの喜ぶ顔のため、毎日を生きている。

【日本ハム王柏融外野手(27)】故郷台湾での愛称「大王」たる由縁を、堂々と示した。好調具合を買われ、先週11日オリックス戦からの計5試合全てでスタメン出場。12日同戦では、今季1号の決勝弾を放ちヒーローになった。目標であった日本語でのヒーローインタビューも実現させた。15日ソフトバンク戦では来日初「4番」で先発し、2号ソロ。来日から3年が経過し「メンタル的にすごく楽になった」と精神の安定が、好打につながっている。