令和の怪物対決に、甲子園が沸いた。「日本生命セ・パ交流戦」のロッテ戦で、阪神ドラフト1位の佐藤輝明内野手(22)が2回無死一、三塁の好機で、ロッテ佐々木朗希投手と初対決。直球を流し打ち、左前に一時同点とするタイムリーを放った。3回の打席は中飛、5回は申告敬遠で、注目の対戦は2打数1安打1打点。佐々木朗にプロ初勝利を献上したが、虎の怪物ルーキーは力勝負で1歩も引かなかった。

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低いライナーで鮮やかに三遊間を破った。令和の怪物対決が甲子園で実現した。2回無死一、三塁。佐藤輝が佐々木朗の内角低め152キロに体を開くようにしながら逆方向へ。捕手は外角に構えていた逆球だったが、決して簡単な球ではなかった。「内寄りだった。速い真っすぐに対して、しっかり自分のスイングができた。チャンスで1本打ててよかった」と一塁側ベンチに向かって小さくガッツポーズを見せた。

3回2死一塁での2度目の対決は内角152キロで中飛に。2点リードで迎えた5回2死二塁での3打席目は、申告敬遠となりスタンドからは7061人とは思えない大きなため息がもれた。佐藤輝は「すごい角度もありますし、力強い球を投げていた。すごくいいボールだなと思いました」。将来の球界を背負うであろう右腕の実力を肌で感じた。1打席目は4球すべて直球。2打席目も初球はフォークだったが、2球目の直球で打ち取られた。「向こうも真っすぐで抑えたいと思うんで、しっかりはじき返せるように」。逆転負けでプロ初勝利を献上したが、虎のドラフト1位も1歩も引かない。今後の真剣勝負を早くも楽しみにした。

近大時代、12球団OKでドラフトを待つ中で「どちらかというとパ・リーグに行きたいですね。見ていてもパの方がおもしろいと今は感じますね」と力と力の対決に魅力を感じていた。4球団競合の末に阪神入団。ここまで全45試合に出場し、チームトップの33打点を挙げ、セ・リーグを代表するスラッガーという立場で初めての交流戦に挑んでいる。

開幕カードのロッテ戦は10打数3安打の打率3割、1打点。28日からは敵地メットライフドームで西武との3連戦。初戦の先発はオープン戦で本塁打を放った高橋が相手だ。「やることは変わらず、しっかりと自分のするべきことをするだけなんで、いい意味でいつも通りいきたい」とマイペースを貫くが、剛腕たちと対決する18試合で、さらに手のつけられない強打者に成長する。【石橋隆雄】