ロッテ佐々木朗希投手(19)が念願のプロ初勝利を挙げた。9回2死、最後の打者の投直が守護神益田のグラブに収まると、ベンチで思わず両手を上げた。お立ち台でも「うれしいです!」と声を張り上げた。

「僕の中ではすごく長かったんですけど、たくさんの方々に支えられて、こうやって勝つことができてよかったです」

かみしめるように話し、余韻に浸った。大船渡高時代は踏めなかった甲子園のグラウンド。今は違う。「高校生にとっては特別な場所だとは思うんですけど、今のぼくにとってはそうではないので」。ペナントレースで優勝を狙うロッテの1軍投手として、責任を感じながら投げた。

初回は3者凡退に抑えるも、2回には3連打をきっかけに2点を奪われた。佐藤輝にも低め152キロを、強くレフト前へ流された。「まずは、自分の納得いくボールをあまり投げられなかったので。そこを投げられるようになってから(対策も)しっかり考えたいです」と今後への反省を忘れなかった。

岩手・大船渡高時代には国内高校生歴代最速の163キロをマークしているが、現在は150キロ台前半~中盤が主体。「心と体のコントロールをすること」をテーマに、長いペナントレースを視野に入れたスタイルを作り上げてきた。この日の最速は154キロも、平均球速は150キロ超。痛打もあったが、ファウルも多く「勝てる投手」「1年間投げ抜ける投手」を目指してスタイルを作り上げた。

11年3月の東日本大震災で被災。父と祖父母を亡くし、家も流された。お立ち台でウイニングボールの行き先を聞かれ「両親に渡したいと思います」と、孝行息子は話した。