広島2年目の宇草孔基外野手(24)が、プロ1号をマー君から放った。1-1の2回先頭打席で、楽天田中将の初球、外寄り高めの142キロをたたくと打球はバックスクリーン左へ飛び込んだ。

「初球から積極的に思い切っていきました。しっかり捉えられたんですけど、入るとは思わなかった」

少年時代の憧れの1人だった投手から、記念すべきプロ1本目を記録した。田中将が駒大苫小牧3年時に、早実の斎藤佑樹(日本ハム)との投げ合いなどで甲子園を沸かせた06年夏、当時小学3年の宇草はテレビにかじりついた。「あの代の甲子園を見て僕は高校野球にすごく憧れを持ったので。メジャーにも行かれた方を相手に打席に立てたので、よかったです」と感慨深げだった。

また、同期入団の森下が投げる試合での援護弾でもあった。ベンチで待ち受けていた森下にはハグで祝福された。宇草は「(森下)暢仁が久々に投げている時に援護できたのは良かったんですけど、勝てなかったので…。次はもっと勝ちに貢献できるように、もっといろんな面で頑張っていきたいです」と引き締めた。

1年目の昨シーズンは終盤の10月に1軍デビューを果たした。しかし13試合目の10月21日阪神戦(甲子園)で死球を受けた影響で、右腓骨(ひこつ)を骨折。翌22日に手術を受けた。懸命にリハビリを重ね、4月30日のウエスタン・リーグ阪神戦(由宇)で実戦復帰。チームがコロナ禍に見舞われたことから「特例2021」で5月18日に緊急昇格。ここまで10試合に出場し、打率2割7分3厘、1本塁打、3打点と奮闘中だ。

「全ての面でまだまだ課題だらけなんですけど、何とか1軍に食らいついていけるように、悔いなくやっていきたい」

俊足巧打の若手ホープが、チャンスをものにしている。【古財稜明】

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