エース完全復活。広島大瀬良大地投手(29)が「日本生命セ・パ交流戦」のソフトバンク戦で7回4安打1失点、8奪三振と好投した。

右ふくらはぎ痛から復帰後は調整面も影響して2連敗。フォームの微修正とプレートを踏む位置を変更して、投球に躍動感と力強さが戻った。チームが引き分ける中、エースは確かな手応えを得た。

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エースが帰ってきた。前回登板より大瀬良の躍動感が増した。序盤は荒々しく感じられるほど、直球とカットボール中心に押した。中盤からはカットボールよりも球速が遅く、曲がりが大きいスライダーを増やした。5回までソフトバンク打線を1安打。6回に見せ球で使おうとしたカーブが浮いて先制ソロを被弾するも、7回まで4安打1失点と本来の姿を取り戻した。

「真っすぐに力があって、スピードも出ていたし、カット、スライダーも生きていた。ただ、今宮のところでちょっと失投というか、甘く入ったところがある。気をつけていったけど、あそこは反省」

登板後のコメントも前向きだった。前回登板までは調整面の影響を感じさせた。右ふくらはぎ痛から急ピッチで1軍に戻った5月18日巨人戦は6回3失点。続く6月1日の日本ハム戦はチーム内の新型コロナ感染拡大による個別調整を余儀なくされ、コンディションを上げきれずに4回6失点。今季初被弾を含む2本塁打を浴びるなど精彩を欠いて2連敗を喫していた。

エースとして言い訳は一切口にせず、ふがいない投球に1人悔しさをかみしめた。コンディションを上げるとともに、変化も求めた。「体が横振りというか、体重移動で突っ込んでいた感じだった」。軸足の負傷でズレが生じていたフォームを微修正した。

前日7日には急きょブルペン入りして、プレートの踏む位置も変えた。前回登板から1足分一塁側へ。28センチの変更が投球の角度を大きく変えた。左打者の内角に曲がるカットボールが有効となり、試合前まで被打率3割超と苦手とした左打者を1番から5番まで並べたソフトバンク打線の内角をえぐった。対角線となる右打者の内角真っすぐには角度が生まれた。

7回99球での降板は中5日で14日西武戦を見越したものとみられる。「復帰してからの登板は自分の中でモヤモヤがあった。何とかいいものが見えたので、継続してやっていって、チームが勝てる投球ができるように準備していきたい」。力強い投球に、チームを鼓舞する姿。頼れるエースの完全復活だ。【前原淳】