中日大野雄大投手(32)が16日、東京五輪に出場する侍ジャパンのメンバーに選出された。五輪代表は初めてで、バンテリンドームでの練習後に取材対応。「金メダルを取りたい」と目標を明確に掲げた。稲葉篤紀監督(48)から先発として期待されているが、リリーフ役も辞さずの覚悟で金メダル獲りに挑む。

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大野雄にとって、日の丸は悲願だった。プレミア12は2度経験しているが、WBCの経験はなく、五輪代表も初めて。だからこそ、メダルへの思いも人一倍だ。

「東京五輪の開催が決まったときから、野球も復活すると聞いて(代表に)選ばれるのはひとつの目標として、ここ数年プレーしてきたのでうれしいし、選んでいただいて感謝しています」。素直に喜びを語った上で「選ばれて終わりではなく、金メダルをとって初めて喜べる」と決意の強さを示した。

目標達成へ、フル回転も覚悟している。稲葉監督は貴重な先発左腕として期待しているが、「大会が始まって実際やってみないとわからない。ぼくはいつもどこでもやりますというスタイルでやってきた。同じ心持ちで、いつでもどこでも何でもやりますという気持ちでいきます」ときっぱり。リリーフ役も辞さずのスタンスも明かした。

楽天田中将や巨人坂本ら、同世代と世界で戦うことへの思いも熱い。同じ88年生まれのスターとの強力タッグについて「本当に心強い。守ってくれる同級生含め、みんな信じて守ってくれると思う。ぼくもバックを信じて思い切って腕を振っていく」とうれしそうに話した。

今季はここまで3勝4敗で防御率3・49と本調子ではない。だが、昨季も開幕から7戦目の初勝利から状態を上げ、10完投(6完封含む)、防御率1・82で沢村賞を手にした。11日の西武戦で3勝目をマークした後、登板間隔が空くために出場選手登録抹消の手続きを取ったが、次回は22日の阪神戦(バンテリンドーム)での先発が有力視される。「できる最高の準備をして(五輪に)挑みたい」。夏場に強い左腕が、悲願の金メダル獲得へ腕を振る。【安藤宏樹】

◆大野雄と日本代表 佛教大4年の10年7月開催の世界大学野球選手権の候補選手として、選考合宿に参加。菅野(東海大、現巨人)、斎藤(早大、現日本ハム)らが代表に選ばれたが、大野雄は落選。プロ入り後は12年11月のキューバとの親善試合でメンバー入りし、15年、19年のプレミア12の代表に選出された。3位に終わった15年は2試合に登板、優勝した19年は3試合に登板して2勝をマークした。ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)代表の経験はない。

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