16年ぶりのリーグ優勝を目指す阪神が緊急トレードを敢行した。2日、ソフトバンク二保旭投手(31)と阪神中谷将大外野手(28)との交換を発表。阪神は先発と中継ぎをこなす実力派右腕を高評価し、17年に20本塁打した大砲候補との交換を決断した。

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9年前の12年、新入社員だった私は阪神担当だった。毎日のように鳴尾浜に通う中で、衝撃を受けたことがあった。それが当時ソフトバンクの育成選手だった二保だ。同じく育成の千賀との2枚看板で“無双”の活躍を見せていた。「なんでこんな選手が育成選手なんや」。わけが分からなかった。改めて見ると、その年の2軍戦は11勝0敗で防御率1・44。すさまじい。

それから6年。ソフトバンク担当になった私は18年4月、雨が降る仙台で二保と初めて言葉を交わした。16年の右肘手術から復帰し、3年ぶりの1軍復帰だった。すらすらとした口調や話す順序、言葉選びがうまく、3年間の苦闘が目に浮かんだ。

20年は開幕ローテーションをつかんだが、12試合、4勝5敗で2軍落ち。今年は「勝負の年」だった。キャンプでは「ストレート」を磨いた。それまではツーシームなど動くボールを武器とし、純粋な直球をほとんど投げなかった。「投げられなかった、という方が早い。抑えられる確率が、他の球の方が高かった」。昨年まで140キロ台前半のボールを軸にしていたが、今年5月の1軍初登板では149キロを投げた。あの日の鳴尾浜で見た背番号「123」はまだ進化している。【ソフトバンク担当 山本大地】

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