阪神の4番主将は余韻に浸るスキなど見せない。

3番サンズの特大3ランでリードを5点に広げた直後の4回2死、1ボール1ストライク。大山悠輔内野手(26)は広島九里がこの日初めて投じてきた内角球、141キロシュートに強く相棒を走らせた。

「サンズが目の前でホームランを打ってくれた。その勢いのまま、より集中して打席に入れました」

弾丸ライナーのまま、2戦連発となる12号ソロを左翼席に突き刺した。

「1点でも多く」。4点差に迫られた7回には先頭で塹江の初球147キロを再び強振。こちらもライナー性のまま、バックスクリーン付近に13号ソロだ。

伏線が1回にあった。2死二塁で徹底した外角攻めを受け、フルカウントからの6球目。外低めへ逃げるスライダーにバットを止め、四球を選んでいた。

外角の変化球に苦しめられた不調時のイメージを一掃。1打席目の我慢から内角寄りのボールを呼び込み、4月20日巨人戦以来、116日ぶり今季2度目の1試合2本塁打を決めた。

「やってみないことには意味があるかどうか分からない。どこにヒントがあるか分からない。やってみて合わなければ、スパッとやめればいいだけですから」

芯はブレさせず、それでいて柔軟。貪欲な向上心が真夏の復調につながっている。腰を残してバットを走らせる「ツイスト打法」。東京五輪期間中に矢野監督ら首脳陣からもらったきっかけも生かしている。

エキシビションマッチ11試合で打率3割6分1厘。前日13日は大瀬良から左翼5階席に特大弾を放ち、この日は力強いライナーで2打席連発を記録した。体にバットが巻きつく好調時のスイングが戻りつつある。

「良い時こそ自分を見つめ直すというか…。油断したらまた一気に崩れるのが野球。良い時は良いで続けて、しっかり反省もして、この状態を続けられるようにやっていきたい」

浮かれず、地に足をつけて、どっしりナインを引っ張り抜く。【佐井陽介】

▽阪神矢野監督(4番大山が2戦3発)「たまたま打った感じではない。打球の角度、当たり方も良い。打球もちょっと中(側)に入ってきている。打てるポイントが広くなったり、もうちょっとボールを長く見られたり、角度がつけられたり。だいぶ良い感じかな」

▼大山の2試合連続本塁打は6月3日オリックス戦、4日ソフトバンク戦に続き今季2度目。