ルーキーの粘りがチームを救った。阪神伊藤将司投手(25)が7回4安打1失点で7勝目を手にした。「もちろん気持ちも入っていましたし、連敗を止められたことはうれしく思います」。ウイニングボールを手にしたスアレスを、ベンチの前で笑顔で迎え入れた。

初回から3イニング連続3者凡退の完璧な立ち上がりだった。4回1死で高松に初安打を許すと、味方の失策もからみ2安打で先制点を献上。気落ちしそうな場面でも、集中力を切らさなかった。4番ビシエドを外低めのツーシームで遊ゴロに仕留め、5番福留をカーブで右飛。持ち前の制球と緩急で丁寧に投げ分け、味方の援護を待った。

25日DeNA戦(京セラドーム大阪)では、自己最短の3回7安打5失点で6敗目。「前回はふがいないピッチングをしてしまったので、今回はしっかり長いイニングを投げられるよう、チームに貢献できるように入りました」。より低めへの意識を高め、この日は勝利を呼び込む快投に変えた。

チームのために腕を振る左腕は、グラウンド外でも仲間思い。最近一番うれしかったニュースは、横浜高時代の女房役に子供が生まれたこと。「その時『よっしゃー!』と思いました」。自分のことのように喜び、出産祝いに子ども用のベッドを贈った。いつかは家族も関西に招待したいと計画する。「どこか案内したいですね。おいしいご飯とか」。野球に打ち込んできたため家族旅行の思い出は、小学校高学年の時にユニバーサル・スタジオ・ジャパンに行ったのが最後。コロナ禍の今、まずはグラウンドの姿で喜ばせる。

矢野監督も「前回、ピッチャーに打たれたりね。本当に悔しい投球でしたけど。将司らしい投球で、梅野としっかりと意識を合わせて、丁寧に丁寧に投げてくれた結果じゃないですかね」とねぎらった。連敗の悪い流れをフレッシュな救世主が止めた。【磯綾乃】