3カ月半負けてない男が、また記録更新! オリックス山本由伸投手(23)が西武戦で8回5安打無失点と好投し、両リーグトップの14勝目を手にした。

自身11連勝は球団歴代4位タイ。防御率1・46、165奪三振を合わせて「投手3冠」を独走する。背番号18の快投で9月初の連勝。首位ロッテのマジック点灯を阻止し、ゲーム差を2・5と縮めた。逆転での25年ぶりVへエースが突き進む。

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純粋な気持ちで、山本は大きく手をたたいて喜んだ。4回にモヤの先制の適時二塁打で、激走した一塁走者のT-岡田がヘッドスライディングで2点目をもぎ取った瞬間、一塁側ベンチで満面の笑みを浮かべた。

「今は2位になってしまっているんですけど、絶対(ロッテを)越すぞという気持ちで戦っていこうと思っています」

仲間と勝つ喜びを分かち合いながら、首位を追う9月戦線。エースは強力な山賊打線を力でねじ伏せ、8回を散発5安打無失点で14勝目をつかんだ。最速は157キロをマーク。11三振を奪い、プロ5年で節目を越えて507奪三振まで伸ばした。5月28日から負けなしの11連勝で、球団では足立光宏、佐藤義則と並んで歴代4位の記録。「ガソリンタンク」と呼ばれた米田哲也まであと3に迫った。

三塁を踏ませなかった。5回無死一、二塁では7番山川、8番川越を連続三振に切り、6回無死一塁は1番源田を投ゴロ併殺に仕留めた。剛球だけではない。「投げ終わったら守りに就く。取れるアウトをきっちり取ると(ゲームが)前に進む」とシンプルな発想で日々練習。投ゴロの処理に「基礎ですよ」と白い歯を見せて笑うようにプロ5年でわずか1失策。チームメートの宮城いわく「チームの練習後に、自分の練習時間を確保している」。後輩たちに姿勢で示している。

ロッテのマジック点灯を阻止し、2・5ゲーム差と再接近。主砲の吉田正らを負傷で欠く中、山本は「何とか全員でカバーしながら、チャレンジャーズでいけたら」と挑戦者の気持ちを強く持つ。試合は「Bsオリっこデー」として開催。背中に「YOSSY」と刻まれたユニホームを着用した山本は「中学までは『よっしー』。ちょっと恥ずかしかったです…」と照れ笑い。マウンドとのギャップを感じさせる23歳エースが、オリックスを引き上げる。【真柴健】

▽オリックス・モヤ(4回に決勝の2点適時二塁打)「山本が投げているゲームだし、こうしていい結果になってくれてよかったよ!」

○…オリックスは西武3連戦を「Bsオリっこデー2021」として開催し、選手はファンに呼んでほしいニックネームをユニホームの背中に記した。ラオウこと杉本は「RAOH」を襲名し、T-岡田は「T」、紅林は「BENI」などユニークな名前が並んだ。