<ヤクルト5-7DeNA>◇29日◇神宮

DeNA牧秀悟内野手(23)が3回に右翼フェンス直撃の二塁打を放ち、通算安打を118とし、1959年(昭34)の桑田武を抜いて、62年ぶりに球団の新人安打記録を更新した。高校時代の野球部長が、当時の牧の様子を教えてくれた。

     ◇     ◇     ◇

牧は常にレギュラーだった。松本第一高(長野)でも1年春から中軸を打ち、1度もベンチを外れたことがなかった。当時の野球部長、瀧川哲朗教頭(54)は「非常に学習面も日常面も真面目だった。3年間で1度も練習を休んだことがない。普段から健康管理をしていたと思う」と高い意識を感じていた。学業面でも野球部、スポーツコースでトップクラス。評定平均は4以上あったという。

ある春の日。寮で就寝前の点呼を取った際、瀧川氏は精神統一のために3~4分、座禅を組ませた。他の選手が「何でこんなことをやるんだろう」という態度を見せる中、牧は真剣に取り組んでいたという。「集中力があったし、受け入れる素直さがあった」と感心した。アドバイスを取り入れる柔軟性があるから、名門中大でもプロでも新人ながらポジションをつかんだ。球団62年ぶりの新人安打更新は偶然ではない。【DeNA担当=斎藤直樹】