今季限りで退任するソフトバンク工藤公康監督(58)が27日、ペイペイドームで退任会見を行った。

チームだけではなく球場スタッフや警備員、食堂の従業員らを列挙して、感謝の思いを話すなど、10分以上に及んだ冒頭のあいさつは以下の通り。

今日はみなさん、私のためにお時間をいただきましてありがとうございます。7年間務めさせていただいた監督を今日で退任させていただくことになりました。みなさまには大変お世話になり、幸せな7年間を過ごすことができて、本当に野球人として、たくさんの方に支えていただいたことをここに心から感謝を申し上げたいと思います。ありがとうございました。

ぼく自身は自分が現役終わって、まさか監督をという風には思っていませんでした。現役をやめてから3年間は解説をやりながら、子どもたちの障害予防であったり、大学に行って勉強してみたりと、こんな自分が何ができるのかまずは1歩踏み出すという意味で、多くの方に支えていただきながら、少しでも子どもたちが夢を見てプロ野球選手になって活躍する姿を見たいと思い、多くの方に声をかけていただきながら、解説をやりながら子どもたちのために何ができるかを一生懸命考えたり。

東日本大震災が起こって、そのために自分が何ができるかということを考えさせられ、そこの中で少しでも多くの方に元気を届けられるかなという思いもあり、その中で自分自身が知らないことがたくさんあったんだということも、実際に現場で見なければわからないこともたくさんあって、その中で一生懸命生きている子どもたちのために何ができるかを考えてこれまでやってきました。

その中で2014年の秋に、王会長から声をかけていただいて、その時はまだまだ道半ばの自分でしたが、やはり思い出されたのが、95年から5年間、ダイエーホークスにお世話になり、99年には日本一になることができて、ぼく自身はそこの中でやむなくダイエーホークスを退団することにはなったんですが、その時にファンのみなさんもそうですし、王会長にも大変お世話になり、恩を受けておりました。その思いが、いつか恩を返すときが来ればという思いはあったのですが、その時に自分自身もしっかり考えて、監督をしながらでも子どもたちの夢を追ってもらうこともできるのではないかと。逆に監督になって強いホークスを作ることで夢を与えられることもあると思って、監督業を引き受けさせていただきました。

幸いなことに7年の間で5度日本一になることができたのも、球団の孫オーナー、王会長をはじめ、球団のみなさんに支えていただき、そして選手、コーチ、スタッフにもぼく自身は支えられ、ぼく自身を変えてくれた一番の感謝しなくてはいけない人たちかなと思っています。そして、ぼくら選手コーチスタッフを支えてくれたのが、球団のみなさんだという風にも思っています。当然、孫オーナーはじめ、王会長や、後藤社長、三笠GMだけではなくですね、ソフトバンクホークスで働いている多くの方々が我々をサポートしてくれなければ、我々は戦うことすらできなかったと思います。そういう中でも、思いを伝えていただき、球団のみなさまには感謝しかないですし、あらためてしっかりとご挨拶したいなと思っています。

そして球場でぼくらのことを支えていただいている方はですね、毎日警備でぼくらより早く来て、ぼくらが帰るときに「いつもご苦労様です」と言ってくださる警備の方々。グラウンドキーパーの方たちもぼくらが来るまでにグラウンドを整備してゲージを張ってくれて、終わった後も帰るときにですね、ブルペンでみなさんが仕事をしているのをよく見ました。そして食堂でいつもおいしい食事を作ってくださる方々。そういう方々がいなければ成り立たないというのを、監督として、選手時代に気がつくことは少なかったんですけど、監督になってあらためていろいろ見てみると、そういう方たちがいてこそのホークスだなというのをあらためて感じました。多くの方に支えられたことを改めて感謝を申し上げたいと思います。ありがとうございました。

たくさんの思い出もあります。つらいこともありました。でもぼくにとってのこの7年間というのは、本当に夢のようなすばらしい日々を過ごさせていただきました。これもですね、本当に選手たちが頑張ってくれたのはもちろんですけど、ぼく自身を彼らがですね変えてくれたと思っています。

15年に優勝したとき、正直、勝って調子に乗っていたところもあったと思いますが、そういう中でも選手たちがですね、ぼくに無言ではありましたけど、いろんなことを教えてくれたことがぼく自身を変えるきっかけにもなりました。そういう中で17年にまた優勝できて、監督という仕事は偉いんではなくて、みんなとともにある。そういうのがぼくの中でしっかり芽生えさせてくれた。16年、勝つことはできませんでしたけど、ぼくに反省とこれからに向けての課題をしっかり選手がくれたことで、変われたところもあったのかなと思っています。その後、4連覇できたことも選手たちの頑張りでありますし、コーチのみなさんやスタッフのみなさんがしっかりサポートしてくれたおかげだと思っています。

そういう中で、今年、ぼく自身も覚悟を持ってここまで来たつもりで這います。結果が悪ければ、責任を負うのは監督であると。今年の成績は、正直、ぼく自身の力のなさが元だったと思っていますし、今年の成績がぼく自身の実力だと思い、足りないところ、力のなさを自分で実感し、責任を取ることが何より大事だという風に思い、今日、ここに至りました。

これからはまだまだ自分の足りなさをもっともっと勉強して、よりすばらしい人間になれるように。なりたいと自分の中で思いながらこれから過ごしていきたいと思いますし、これまでたくさん支えてもらい成長させてもらったことがすごく大きいと思いますので、これからは誰かのために、人のために役に立てるような、野球を通してそういうことができるような、そんな人間になっていきたいなと思っています。7年間、こんな私でも支えていただいたみなさん、本当に心から感謝申し上げます。ありがとうございました。