DeNA三浦大輔監督の「月刊ハマの番長」を1年間、担当した。プロ野球で新任の現役監督が毎月、心の内を話すという、業界的にも珍しい機会。ただし、基本的に三浦監督は毎日のように報道陣に取材対応してくれている。何か、ここだけの話を引き出さなければと、緊張しながら取材に臨んでいた。

2月の第1回(2月23日付け東日本版)は、新聞の1面を飾った。キャンプの部屋を自撮りしてもらい、写真も掲載された。部屋ではホワイトボードに選手名が書かれたプレートを見てイメージしたり、プロレスやボクシングといった格闘技を見ながら半身浴をしていると、明かしてくれた。

新聞の1面を飾ってもらったお礼を伝えると「こちらこそ、1面ありがとう」と、逆に感謝された。インターネットが全盛の今でも、三浦監督は毎朝必ず日刊スポーツを読んでくれている。1面はもちろん、野球面には隅々まで目を通しているようで、日々の囲み取材で「新聞に書いてあって知りました」という言葉を何度も聞いた。この連載ではない他の記事について、誤字があったことを指摘されたこともある。大きく掲載されることに価値を見いだしてくれることは、こちらとしてはありがたい。

定点観測は、後世の貴重な資料になると思っている。3、4月は6勝21敗4分けという、苦しいスタートとなった。毎月選ぶ「今月の一文字」は「忍」だった。「まさか自分が熟睡できなくなるとは」と、寝られなかったことを明かしてくれた。来年、もし優勝することがあれば、当時の心境は味わい深いものになるだろう。逆に6月は12勝8敗2分けと、初めて月間勝ち越しとなった。田代富雄巡回打撃コーチがベンチ入りしたり、伊藤光捕手を2番に入れたりと「番長色」が出ていたと思う。今、当時の原稿を読み返しても、行間から幸福感がにじみ出ている。

良いときも悪いときも、しっかりと文字に残せたことは、意味があると信じている。監督はかくも大変な仕事かと、感じていただければ幸いだ。【斎藤直樹】

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