DeNA桑原将志外野手(28)が21日、横浜市内で契約更改交渉に臨み、年俸変動制の4年契約を結んだ。年俸は4900万円から5600万円増の1億500万円。「(4年契約は)まったく想像していませんでした。ホント最大限に評価いただいたと。今年1年しか、悪い言い方ですが、いいシーズンではなかったが、このように評価していただいたので、なんとか恩返ししたい」と喜んだ。

今季は135試合に出場し、打率はセ・リーグ5位の3割1分、自己最多の14本塁打、43打点、12盗塁と不動の1番打者として活躍した。規定打席到達は4年ぶりで、39二塁打はリーグ最多だった。「成績はシーズン始まる前に想像していなかった。積み重ねたものが出た。気持ちを忘れずにやっていきたい。誰が僕が3割を打つと想像していたか。僕自身が驚いた」と振り返った。

プロ10年目を迎えたが、春季キャンプは2軍スタートだった。嘉手納野球場でコツコツと練習を重ねた。「多いにプラスになったと思います。ずっと自分と向き合いましたし」と腐らなかった。2月末に1軍に合流すると、オープン戦ではチーム最高の打率2割9分6厘をマーク。3年ぶりに1番中堅で開幕スタメンに名を連ねた。

過去2年は不遇だった。打率は1割台に低迷。出場試合数が18年の127から72→34と激減した。年俸も8400万円から6500万円→4900万円と右肩下がり。オフには内野手転向を打診された。崖っぷちに立たされ、はたと気が付いた。「やっぱり外野でレギュラー取りたい。1つのポジションを取るという強い気持ちが芽生えた」。昨年末、徳島まで初めて19年に亡くなった母栄美さんの墓参りに行った。「『今まで通り自分らしくプレーするよと』いう気持ちを込めた」。復活を期した。

三浦大輔監督に代わった今季も波瀾(はらん)万丈だった。5月12日巨人戦では9回2死から一塁線への飛球に走らず、批判を浴びた。「打った瞬間にアウトだ、終わってしまったと決め付けた」。翌日、監督室に呼び出された。「去年はどういう気持ちでやっていたのか。2度とやるな」。三浦監督の言葉に猛省した。「試合が成立するまで、ベストを尽くさないと」。次戦から5試合連続安打で足場を固めた。

5月26日オリックス戦。2回2死満塁から平凡な飛球を落とした。守備は誰しも認める実力者。「監督、コーチに『何があったんだ』と聞かれたが、僕も分からなかった」。4回から神里と懲罰的にも見える交代。神里は2試合連続本塁打を放ち、桑原は3試合連続でスタメンを外れた。だが、心は乱れなかった。

来季は大田泰示が日本ハムから加入する。「誰がチームに来ようと競争であることは毎年変わらない。今年やっても来年レギュラーという保証はない。またポジションを奪う」。外野のレギュラー争いは激化するが、ポジションを手放すつもりはない。【斎藤直樹】(金額は推定)