新人ながら今季10勝を挙げ、東京オリンピック(五輪)では侍ジャパンの一員として金メダル獲得に貢献した日本ハム伊藤大海投手(24)が21日、出身地の北海道鹿部町から、同町初の町民栄誉賞を贈られた。

伊藤の功績をたたえて、同町が11月に新設したばかりで、第1号となった。母校の鹿部小と鹿部中にも凱旋(がいせん)し、生徒たちと交流。今後、さまざまな形で地域への“恩返し”を誓った。

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人口4000人に満たない道南の町に、ヒーローが凱旋(がいせん)した。出身地の鹿部町役場で、同町初の町民栄誉賞を受け取った伊藤は「より一層、頑張っていかないと。もっと伊藤大海の名を全国に広めて、付随して鹿部町の名前も広めていけたら」。言葉に、たっぷりの“地元愛”を込めた。

真夏の感動が、町政を動かした。東京五輪に侍ジャパンの一員として参加。ベンチの中継ぎ起用に応え、3試合に登板し5回無失点。度胸満点の投球で大活躍した。鹿部町議会は11月、町民栄誉賞の新設を決定。伊藤にとっては、パ新人特別賞、道民栄誉賞、北海道スポーツ記者倶楽部MVPに続き、今オフ4つ目の勲章となった。

母校の鹿部小と鹿部中にも足を運び、地域貢献への思いを強くした。「一生懸命やっている姿を、テレビの画面越しではなく生で見てもらいたい」と、新型コロナが収束後、両校の生徒たちを試合に招待したいという思いをもある。「生徒数が減ってきているので、野球に限らず新たな取り組みが出来たら面白い。もっと皆にとって、自慢の先輩でいられるようにやっていきたい」。子どもたちに、夢や目標を持つきっかけを与えられるよう、地元への“恩返し”を検討中だ。

小、中学校に町役場と、久々の帰省は大忙し。お礼行脚の合間を縫って「地元にいる時間は1秒でも無駄に出来ない」と、釣り糸を、生まれ育った太平洋にたらすことも忘れなかった。つかの間の休息で活力をチャージし、2年目の来季へ向かう。【中島宙恵】

○…伊藤の弟で、鹿部中1年の駿航(とわ)さんが「今年より、いっぱい活躍して欲しい。タイトルを1つ取って欲しい」と、兄にかわいいお願いをした。これを、報道陣から伝え聞いた伊藤は「生意気に言ってました? 」と、うれしそうな笑顔。中学校訪問では、88人の後輩に向かって「沢村賞を取りたい。そのために、ファイターズで優勝したい」と、近未来にかなえたい目標を宣言した。