今秋のドラフト戦線へ名乗りを上げる。東都大学野球リーグ2部に所属する東洋大・矢吹栄希外野手(3年=聖光学院)が、春季リーグで1部昇格、秋の明治神宮大会優勝を誓った。その先の大卒プロ入りも視野に、打撃タイトル3冠(打率、本塁打、打点)獲得も目標に掲げた。泣いても笑っても勝負のラストシーズン。3年間積み上げた集大成の真価を発揮する。

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大学最終イヤーに矢吹の闘志はみなぎっていた。「勝負のシーズンと思っている。春は2部で優勝して1部昇格。秋は大学日本一を目指していく」。昨秋は15年以来の2部で3位も、コロナ禍の影響で入れ替え戦は行われなかった。2季連続で2部が主戦場となり、捲土(けんど)重来を期すシーズンが幕を開ける。

スケールが格段に増した。今冬はデッドリフトなど、ウエートトレーニングに本格的に着手。1日6、7食の食トレにも励み、1食2、3合の白米をかき込む。聖光学院時代は体重68キロと線が細かったが、現在は同81キロと一回りも二回りも、たくましくなった。「打球が違う。タイミングを外されてもフェンスオーバーが多くなった」と手応えを口にし、持ち味の長打力に磨きがかかった。

憧れの「先輩ロード」を突き進む。3学年上で高校、大学と背中を追い続けてきたロッテ佐藤都志也捕手(24)は刺激になる存在だ。「都志也さんが活躍している姿を見ると、自分も『もっと頑張らないと』と思うきっかけになる」と明かした。

「春の結果次第」と前置きした上で、大卒プロ入りを掲げる。「今までは夢。(プロ野球選手に)なれたらいいなくらいの感覚が、今は『行かないといけない』と思うようになって、距離を意識している。首位打者、本塁打、打点の3冠獲得で圧倒的な数字を出したい」と決意をにじませた。目に見える結果を求め、ラストシーズンを駆け抜ける。【佐藤究】

◆矢吹栄希(やぶき・はるき)2000年(平12)11月9日生まれ、福島県郡山市出身。兄の影響で3歳から野球を始め、緑ケ丘中時代は郡山ボーイズに所属。聖光学院では1年秋に初ベンチ入り。2年夏、3年春夏に甲子園出場。東洋大では1年春からリーグ戦デビュー。昨秋は2部リーグで本塁打王のタイトルを受賞。178センチ、81キロ。右投げ左打ち。憧れのプロ野球選手は、ロッテ佐藤都志也。