新オプションもいける! 阪神が練習試合の楽天戦(宜野座)に「3番左翼」大山悠輔内野手(27)、「4番三塁」佐藤輝明内野手(22)の初布陣で挑み、22年初勝利を挙げた。大山はスライディング好捕など2年ぶりの左翼を軽快にこなし、佐藤輝も無難に三塁守備。大山は一塁もOKで、攻撃に厚みを出すバリエーションを増やした。打っても大山が先制決勝の適時打を含む2安打、佐藤輝は3安打で好調キープ。4番争いもますます激烈だ。

     ◇     ◇     ◇

【関連記事】阪神ニュース一覧はこちら―>

楽天黒川の飛球に左翼大山が反応した。2回先頭。強風の中、左打者特有の切れていく当たりを追うと、三塁側ブルペン後方でスライディングしながら邪飛をつかみ捕った。この日唯一の守備機会を好守で魅せ、約1200人のファンから大きな拍手を浴びた。

レフト大山。2年ぶりに起用した矢野監督は絶賛した。「すごい難しい打球。本土の試合ではこれぐらい風が吹くのって千葉ぐらいしかないかもしれないけど、まあまあ良い判断ができていたし、良い守備だった」。久々のポジションでも、1球ごとに変わる風向きを読み切っていた。頼もしく見つめる指揮官が狙いを明かした。「(ロハスの)右(打席)は課題がある。悠輔をレフトに入れるオプションも考えている」。

左翼候補のロハスは両打ちだが右打席に課題が残る。昨季は打率1割4分8厘、2本塁打でともに左打席を下回った。この日も今年初めて対外試合に5番DHで出場したが、第1打席で左腕藤井に遊ゴロ併殺打に倒れた。だが、左翼大山がOKなら、左腕の先発時はロハスに代えて組み込める。バリエーションのアップが打線に厚みを持たせる。

大山の左翼は20年6月20日の敵地巨人戦以来。だが、昨年の秋季練習から有事に備えて挑戦中で、「中途半端が一番よくない」と宜野座にも外野グラブを持参した。この日の試合後も外野の守備に励むなど向上心は旺盛。本職の三塁に加えて11日の日本ハム戦は一塁で出場し、主軸を張りながら今キャンプは3カ所でスタメン出場する大車輪だ。

打っても初回1死三塁、藤井から中前に先制決勝タイムリーを放つなど2安打。キャンプ実戦4試合は1本塁打を含む11打数5安打、打率4割5分5厘の大暴れで、佐藤輝との4番争いはますます激烈だ。矢野監督も「内容もしっかりした打席が多かった。本人も手応えがあると思う」とうなずいた。一塁、三塁、左翼OKのマルチな守備に、バットも絶好調。“1人3役”で4年目矢野阪神を引っ張る。【中野椋】