ソフトバンク戦力外で阪神に新加入した育成の渡辺雄大投手(30=ソフトバンク)が、支配下登録を猛アピールだ。ケース打撃で打者6人に無安打2四死球。実戦で2試合2イニング無失点中の変則サイド左腕が、再び味方斬りでも存在感を発揮した。

走者を置く場面を想定したケース打撃は常にピンチの状況が続く。1死三塁で右打席に立ったロハスには「ヨシッ」と叫びながら、内角へスライダーを食い込ませ浅い左飛に仕留めた。続く佐藤輝は無死一、三塁でバントを試みてきたが、右足太ももにツーシームが直撃。その厳しい攻めのイメージが残ったのか、続く近本は無死一塁で3球いずれもファウルでスリーバント失敗。遠藤は無死一、二塁でバント空振り、ファウルで追い込み、最後は捕手前に転がしたが、三塁封殺で失敗させた。小技を許さず、大事な場面でも使える曲者ぶりをアピールした。

矢野監督は「クイックも苦手ではないし、タイミングとかもうまくズラせられるものは持っている」と高評価。「勝負を止めにいくとか、流れを止めたい、変えたいところにきてほしい。おもしろい存在になってくれる」と目を細めた。このまま結果を出し続ければ、貴重な左殺しとして、支配下登録、開幕1軍への道も見えてくる。及川の先発転向で、岩崎に続く左の中継ぎは岩貞とドラフト3位桐敷が有力候補。ここに背番号128が割って入る勢いだ。鷹から来た苦労人に期待が高まる。【石橋隆雄】