みなさん、お待たせしました! 阪神佐藤輝明内野手(23)が、オープン戦11試合43打席目で待望の1号2ランをかっ飛ばした。7回にソフトバンク左腕笠谷の変化球を右翼席へ。昨季の反省をもとに確実性を重視した新打法が成果を発揮し、長短織り交ぜたオープン戦2度目の猛打賞も決めた。

矢野燿大監督(53)も「外すつもりはない」と初めて開幕4番を明言。ノってきた主砲が開幕へエンジン全開だ。

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打った瞬間、久々に確信した。2点を追う7回2死一塁の第4打席。カウント1-2からの5球目、佐藤輝は左腕笠谷の甘いカーブを逃さなかった。両腕を伸ばして豪快に振り抜いた打球はグングン伸び右翼ポール際へ。おなじみの「Zポーズ」は「本番にとってます」と封印し、両手の人さし指を突き上げるシーズン前限定の“ダブルZポーズ”で喜びを表現した。

「変化球が浮いてきたので、しっかり打ててよかった。甲子園じゃなかったら入っていた(当たり)のもあったし、焦ってない中で出たのでよかったです」

本塁打は2月24日の紅白戦以来19日ぶり。オープン戦11試合43打席目、練習試合も含めた対外試合では16試合目、61打席目にして待ちに待った22年の1号だ。

得意の福岡が力をくれたのか。ペイペイドームは昨年オープン戦初戦の3月5日、初打席で同じももクロファンの石川から左翼席へ運んだ思い出の球場。その1発を号砲にオープン戦で6本塁打、シーズンでも24本塁打を記録した。「いいイメージがある」。再び“原点”で描いた放物線に量産態勢の予感が漂う。

新打法での1号だ。三振か本塁打のイメージが強かった昨季の反省をもとに、軸足でしっかり立つことを意識した打法にモデルチェンジ。ボールの見極めと確実性アップにつなげた。だがその影響か、打率は上げたが、なかなか打球は上がらなかった。だが角度を上げるために「細かいところを微調整して」、アーチストの打球を取り戻した。

5回の第3打席では石川から右翼線へ二塁打。9回には守護神森の外角低めフォークを中前へ運び、オープン戦2度目の猛打賞。同4度目のマルチ安打で、両リーグ4位の打率を3割2分4厘に上げた。近大の先輩、糸井との昨季5月7日DeNA戦以来のアベック弾を達成。糸井からは「ナイスバッティング」とたたえられ、「すごくいいムードです」とにっこりだ。

ついに矢野監督も明言した。今後も4番で起用するか? の問いに「うん、全然外すつもりはないけど」ときっぱり。「自分の中での自信なのか、自分なりに落ち着いて打席に立てている」と目を細めた。佐藤輝は「もっと上げて開幕を迎えられたらいいかなと思います」と貪欲。若きタテジマの4番が、暴れ回る準備を整えた。【古財稜明】