ミスタータイガース弾で開幕や! プロ野球の22年シーズンが25日に各地で開幕する。阪神佐藤輝明内野手(23)はヤクルトとの開幕戦(京セラドーム大阪)に「4番右翼」で出陣。24日の全体練習ではフリー打撃で6本の柵越えを放つなど、万全の状態に仕上げた。開幕戦で球団の生え抜き4番が本塁打を打てば、84年掛布以来。進化した怪物スラッガーが豪快アーチで、チームを17年ぶりのリーグ優勝に導く。

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バックスクリーンへ2度、鮮やかなアーチを描いた。佐藤輝が開幕の舞台となる京セラドーム大阪で、6本の柵越えを披露。準備はOKだ。「すごい楽しみ。非常にいい感じできている。今は不安は特にない」と言い切った。怪物スラッガーの2年目シーズンがいよいよ幕を開ける。

4番右翼で先発するヤクルトとの開幕戦。「しっかり走者がいる時に打つのがいい打者だと思う」と4番の理想像を語った。オープン戦は15試合に出場し、14試合で4番を任された。打率3割2分7厘、2本塁打、11打点はすべてチームトップ。キャンプから大山と4番を争ってきたが、結果で勝ち取った。矢野監督は「輝も開幕4番で迎えられたのはひとつの成長」と、ここまでの取り組みを認める。猛虎の4番が開幕戦で本塁打を打てば、17年福留以来だが、生え抜きとなれば、84年掛布を最後にいない。藤村、田淵、掛布というミスタータイガースだけが刻んできた「生え抜き開幕4番弾」で、佐藤輝も先人に続く。

今季限りで退任する矢野監督が、この日のミーティングであらためて「俺たちの野球」を熱く語った。常に積極的にトライし、ファンや子どもたちに夢や感動を与えるのが目指すところ。開幕戦は入場制限がないため、自身初めて満員の球場でプレーする可能性がある。「すごい盛り上がると思うので、すごく楽しみ。気持ちも高ぶると思う。本塁打だったり、点を取るところで活躍したい」と、打って虎党を喜ばせる決意だ。

開幕の相手は昨季日本一のヤクルト。2年連続で小川が相手だ。昨季は「6番右翼」で出場し、2回に左犠飛でドラフト新人では球団初のプロ初打席初打点を記録し白星に貢献した。進化した打撃で4番を勤め上げれば、勲章もついてくる。「全部頑張ります。何でもいいのでほしい」と初タイトルへ意欲満々だ。「勝たないと優勝できない。しっかり勝てるようにやりたいなと思う」。浮き沈みの激しかった新人イヤーをバネに、ここから本当の「輝伝説」が始まる。【石橋隆雄】

○…井上ヘッドコーチは「隠すこともなく4番は佐藤輝でいきます」と明言した。ヤクルト小川の昨季阪神戦は4試合1勝2敗、防御率5・57。「そんなに嫌な印象も得意な印象もない。何かのワンプレー、何かの一打で勢いに乗った方が、明日(25日)の試合は取れるんじゃないか」。ヤクルトには昨季5厘差で優勝を奪われた。「最初にどういった戦いをするか。印象づけはこの3連戦は大事」と、勝って今季は相手に嫌なイメージを植え付ける。

○…満員の観客が虎ナインを後押しする。京セラドーム大阪のある大阪府を含む18都道府県に適用された「まん延防止等重点措置」が、21日の期限で全面解除。それに伴い入場者数の上限が撤廃された。担当者によるとチケットの売れ行きは「ほぼほぼ完売状態」という。3年ぶりに満員の開幕ゲームとなる可能性がある。

▼阪神の4番打者で、開幕戦に本塁打を打った選手は2リーグ制後、9人(12度)いる。直近は17年の福留孝介だが、生え抜き選手に限ると84年の掛布雅之までさかのぼる(80年にも記録)。生え抜きでは他に田淵幸一(2度)、52年藤村富美男の3人だけだ。佐藤輝も続けるか?

▼佐藤輝は新人だった昨季、開幕2戦目に本塁打を放った。2リーグ制後、球団で新人年から2年連続で開幕3戦目までに本塁打を記録した選手はおらず、佐藤輝がヤクルト3連戦でアーチを放てば、球団初の快挙となる。

▼開幕戦で本塁打を打った阪神選手の年少記録は<1>掛布雅之=21歳10カ月(77年)、<2>浅越桂一=22歳9カ月(59年)。佐藤輝は現在23歳0カ月。開幕戦で本塁打を打てば、球団では2リーグ分立後3位の若さとなる。