中日が一丸で本拠地初勝利をつかんだ。立浪和義監督(52)の荒療治がはまった。前夜に指令した選手だけのミーティングに、この日は試合前に阿部に直接打撃改造を指示。1点を追う8回1死一、三塁から鵜飼、阿部の適時打での逆転劇につなげた。エース大野雄も8回2失点の力投で今季初勝利。指揮官が先導した勝利への執念が連敗3で止めた。

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阿部のバットが立浪監督に本拠地初勝利を運んだ。8回、鵜飼の適時打で同点としてなお2死一、二塁。広島大瀬良の直球を見逃さなかった。144キロの直球を振り抜くと、打球は詰まりながらもセンター前に。二走岡林がホームを陥れ勝ち越した。「結果を出さないと試合に出られない。打ててなかったので、(監督の)おかげで打てて良かった」。一塁ベース上でこぶしを上げた。阿部は、指揮官に感謝した。

指揮官の荒療治が随所ではまった。阿部には試合前に打撃改造を直接指示。秋から続けてきた新フォームではなく、昨シーズンまでの打撃フォームに戻させた。3月31日にDeNAに敗れ、本拠地開幕カード3連敗。自宅に戻った指揮官は、阿部の映像を再生しながら、フォーム修正へ頭を巡らせた。「バットを立てた方が、球に対応できる」と、異例の試合直前の打撃改造へ動いた。

ドラフト2位鵜飼の8回の同点打も、前夜指示した選手だけのミーティングが生んだ。DeNAに3連敗後、野手キャプテンの大島、球界最年長の福留、ビシエドらが約30分間、若手に心構えを訓示。鵜飼は、狙い球を打席ごとに変えるなど、バッテリーとの駆け引きも加味。中村紀打撃コーチと続けてきた高め球打ちの成果を加え、高めのボール球を右翼前へ運んだ。

ベンチワークもさえた。8回1死一塁での岡林の打席ではエンドランのサイン。「岡林もヒットが出ていない。打ちに行かせたのがいい結果につながった」。11打席無安打の岡林へのカンフル剤が、チャンスを広げた。

逆転勝利に立浪監督も表情を緩めた。「勝てばうれしい。8回によくつないで逆転してくれた。力に変えていって欲しい」。6戦無敗の首位広島から勝ち取ったホーム1勝を反抗の起爆剤にする。【伊東大介】

○…大野雄が8回5安打2失点で今季初勝利をあげた。4回、併殺を狙った自らの二塁送球ミスをきっかけに逆転を許したが、気迫の投球で8回の逆転劇を呼び込んだ。「なんとか長いイニングを投げて逆転してもらえるようにと。開幕投手として初戦に勝てなくて申し訳なく思っていたので気合入ってました」。立浪監督に本拠地初星を届けたエースは「今年は働きまくります」とフル回転を宣言した。

▽中日R・マルティネス(9回を締めて2セーブ目)「昨日、点を取られてしまい悔しいピッチングになってしまった。今日は絶対、チームに勝利を届けられるように投げた」

▽中日鵜飼(8回1死一、三塁で同点適時打)「打ったのはボール球です。中村紀コーチと取り組んできた課題にしていた高めが打てて良かった」