阪神がセ・リーグワースト記録を更新する開幕9連敗を喫した。昨季9勝のガンケルが巨人中田に初回満塁弾を食らうなど、投手陣が11安打9失点と打ち込まれた。東京ドーム3連戦で8被弾。矢野燿大監督(53)は現状打破のプランを「浮かばない」ともがいたまま。5日からは今季初の甲子園でDeNA3連戦。「今は何でもきっかけにしたい」。トンネル脱出へ、頼みの綱は本拠地の虎党の声援だ。

73年目のシーズンを迎えたセ・リーグの歴史をついに塗り替えた。開幕9連敗。マスク姿の矢野監督の表情はベンチで厳しくなるばかり。試合後、「これだけ結果が出ないっていうことでね。さらにもっと前を向く意識を持たないと」と声を絞り出した。我慢の日々はいつまで続くのか。前を向いてはいるが、そこに普段の目力はない。

腰の張りで出遅れた昨季9勝のガンケルに連敗ストップを託したが、初回いきなり中田に満塁弾を浴びた。5回は浜地が岡本和にソロを浴び、7回はアルカンタラが4失点。打線はドラフト3位赤星の散らす投球に的を絞れなかった。糸井の2ランはあったが、7回まで投げさせプロ初勝利を献上。9回の木浪、梅野の2者連続ソロでは埋まらないビハインドが重かった。

この日の2発を含め今回の東京ドーム3連戦で8被弾。「この球場はある程度仕方ない。だからこそバッテリーで協力して、意識を高めてやっていかないと。それで勝負して、抑えていかないとダメなんで」。指揮官は3試合すべて序盤に1発攻勢を浴びたバッテリーに苦言を呈した。

3カード9試合が終了し、12球団で唯一白星がない。ただ打ち破りたい現実を前に、なかなか打開策が見つからない現実が言葉の端々から浮かび上がる。「何か大きく変えられることって、まあちょっと俺も浮かばないんで。だからこそ、目の前の事に集中して。1人1人が『俺が変えてやる』っていう気持ちでね」。

5日からはようやく今季初の本拠地甲子園に戻りDeNA、広島を相手に6連戦。矢野監督は「もう今は何でもきっかけにしたい。何でもプラスに捉えられるものはプラスに捉えていきたい」とわらにもすがる正直な気持ちを明かした。

井上ヘッドコーチが補足する。「『甲子園で出直し』というようなことを選手個々にも伝えた。借金9を返すのはなかなかだが、そこはポジティブに。やっと地元。ここから行こうぜということ」。もがき続けるナインも同じ気持ちだ。入場制限なしの開催で満員が見込まれ、大声は出せなくても拍手やメガホンをたたく音で包まれる聖地が、大きな力となるはずだ。【石橋隆雄】