中日高橋宏斗投手(19)がプロ入り初勝利を挙げた。粘りの投球で6回6安打3失点にまとめ、打撃でも2回に逆転の2点適時決勝打を放った。42歳のヤクルト石川との対決を制し、プロ初白星を挙げた。1年目の昨季は登板なしに終わったが、将来のエース候補右腕がチームを勝率5割復帰にも導いた。

【関連記事】中日ニュース一覧

2年目高橋宏の10代の若さがはじけた。初回、山田の中前打で1点を失っても動じない。1死一塁から4番村上を直球で空振り三振。木下の肩にも助けられ併殺を完成させた。5回松本直に2ランを被弾したものの、「ラスト1回を死ぬ気で投げろ」と落合投手コーチに6回も送り出された。2死走者なし、村上にカウント3-1から151キロ直球で懐を突く。四球にこそなったが「指にかかった球。押し切れた」と昨季本塁打王へ逃げなかったことに納得した。

6回6安打3失点。先発として一定の役割を果たしたが、初勝利に導いたのは自らのバットだった。2回1死満塁、23歳差のヤクルト石川から逆転2点中前適時打を決めた。「初球から思い切りいこうと思って打席に入り、いいところに飛んでくれた」。中村紀打撃コーチの直前のアドバイスを生かしたV打になった。手元には初勝利と初安打の2つの記念球が残った。

縁起のいい球場だった。中京大中京2年の明治神宮大会では、エースとしてマウンドに上がり3戦2勝を挙げ頂点に立った。当時を傍らで見守った中京大中京・高橋源一郎監督(42)も今年の飛躍を予見していた。「あの子は探究心が強い。負けると必ずステップアップした。プロ1年目でカベに当たったので、2年目は結果を出してくると思っていました」。

昨オフから福谷の紹介で三重・みどりクリニックで関節可動域の知識などを取り入れ成長につなげた。愛知県では地上波テレビ放映がなく、ネット情報で高橋宏の勝利を確かめた恩師と喜びを分け合った。

プロ入り初登板の前回3月30日、DeNA戦(バンテリンドーム)では5回4失点で初黒星。だが小笠原が新型コロナウイルスに感染したために、急きょ中7日でスタンバイし、1勝をつかんだ。「慎之介さんにいい報告をしたい」。リュックにぶら下げた背番号11のキーホルダーを見つめながら、帰りのバスに乗り込んだ。【伊東大介】

▽ヤクルト高津監督(中日高橋宏にプロ初勝利を献上)「(狙い球を)絞って打ちにいったけど、なかなか打てなかった。真っすぐのキレはいいですね。フォークも低めに投げられますし、いい投手だと思います」

◆高橋宏斗(たかはし・ひろと)2002年(平14)8月9日、愛知県生まれ。中京大中京2年時の19年明治神宮大会で優勝。20年センバツがコロナ禍で中止になり、代替措置として同年8月に開催した「2020年甲子園高校野球交流試合」で智弁学園相手に最速153キロを出した。同年ドラフト1位で中日入団。1年目の昨季は2軍で14試合登板、0勝5敗、防御率7・01。今年3月30日DeNA戦で1軍デビューした。今季推定年俸1400万円。186センチ、86キロ。右投げ右打ち。