赤い二刀流だ! 広島先発森下暢仁投手(24)が阪神戦で1失点完投の好投を見せ、今季2勝目を挙げた。打ってはスクイズ&3点適時三塁打の4打点。「昨日(8日)、苦しい試合をしていたので、最後まで投げきろうと思ってマウンドに上がった」。前夜は4時間53分の死闘の末に、ドローに終わった。投打の大活躍で、救援陣に休息を与えた。

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まずは2回の打席だ。1死一、三塁で一、二塁間に転がし、セーフティースクイズを決めた。3点リードの3回には2死満塁で秋山の外角球をとらえた。右中間を真っ二つに割り、迷うことなく二塁を蹴った。さらに3点を追加するプロ初の三塁打で、右の拳を掲げた。「初めての三塁打でめちゃくちゃうれしかったです」。ナイン総立ちの快音を喜んだ。今季7打点で、リーグ9位に躍り出た。

明大時代には投手の出番がない試合では右翼手など外野も務めた経験がある。4年時には19年秋の東京6大学で25打数9安打で打率3割6分を誇った。広島でも、投手陣による打撃練習で柵越えを目指し、バットを強振。「打撃は好きです」と積極的に練習に取り組んできた成果が出た。

好調な打線に、「恐怖の9番打者」が加わり、3戦連続の2ケタ安打で大勝した。佐々岡監督は「1人で投げてくれたのが大きかった。ある程度は森下に任せると決めていた。自分を助けるという意味でも(3回は)大きな3点になった」と右腕の奮闘をたたえた。首位巨人とのゲーム差は0・5で変わらないが、打線がつながる広島の勢いは止まらない。【前山慎治】

▼広島の森下が4打点。投手の1試合4打点以上は、DeNA石田健大が19年7月27日の中日戦で4打点を挙げて以来。広島の投手では、津田恒美が84年5月13日ヤクルト戦で満塁本塁打を放ち4打点して以来、38年ぶり。