阪神がまたもや負のデータを刻んだ。広島に完敗し、両リーグ最速の借金10となった。13試合消化時点での2ケタ借金はセ・リーグでは初の屈辱。苦手とする森下を攻略できず、4番佐藤輝明内野手(23)の2号ソロによる1点のみ。その佐藤輝も守備で2度のミスを犯し、乗れないチームを象徴した。

【関連記事】阪神ニュース一覧

暗黒時代よりも弱いのか-。深々とスタンドに向かって頭を下げる矢野燿大監督(53)に、虎党からは拍手に交じり罵声も飛んだ。今季最多3万8634人が詰めかけた甲子園で1-9の完敗。借金はついに10まで膨らんだ。広島森下に1失点完投され、打っても4打点を献上。右腕にはこれで通算9試合で1勝6敗。4回に左翼ポール際へ2号ソロを放ち一矢報いた佐藤輝は「明日は絶対に勝ちたいという思いだけ。ファンに勝って喜んでもらいたい。苦しい状況だが、頑張って、前を向いてやっていきたい」とナインの気持ちを代弁した。

これまでの球団最速の借金10は暗黒時代の95年で22試合消化時点だった。13試合目での2ケタ借金はセ・リーグ初。開幕から屈辱のデータが並ぶ。前夜はリリーフ陣の奮闘で、延長12回ドローに持ち込んだが、勢いに乗れない。それを象徴したのが、空砲を放った4番の守備だ。先制された直後の2回1死二塁。右翼を守る佐藤輝が上本の飛球に目測を誤った。後ろに下がり、あわてて前進したが、ポトリと目の前に落ちた。右前打とし、その後の2失点につながった。6回から就いた三塁の守備では、9回に悪送球。守備で2度のミスを犯した。

これには矢野監督も苦言を呈した。「久しぶりに逆方向にああいう本塁打が出た」と評価しつつ、「打つことだけが野球じゃない」とピシャリ。2回の場面は強風が吹いていたが、「そんなん言い出したら、言い訳にしかならない。最後の三塁でのスローイングもしっかり投げないと」と厳しかった。中心選手と成長するためにも守りの意識を高く持つように求めた。

これで首位巨人とは8ゲーム差に開いた。シーズンはまだ130試合ある。チーム一丸で勝利を目指すしかない。【石橋隆雄】

▼13試合を消化した時点で2桁借金に到達したことがあるのは、2リーグ後では開幕12連敗後1勝の55年トンボ、2分けはさんで11連敗の79年西武、11連敗後2連勝した02年ロッテ、10連敗後3連勝した61年阪急に次いで5度目。セ・リーグの球団では初めて。過去4チームのうちロッテは4位、阪急は5位、トンボと西武は最下位に沈んだ。なお、13試合目で2桁借金があるのは55年トンボ、79年西武のみ。阪神はここから巻き返せるか。