中日大島洋平外野手(36)が5年ぶりのサヨナラ打で3連勝を呼び込んだ。0-0の延長10回1死一、二塁。阪神6番手の加治屋のフォークを捉え、右中間を破った。笑顔の仲間に囲まれ、お立ち台では「すっきりしました。アキラ(根尾)がつないでくれ何とかかえそうと思った」と声を弾ませた。

回またぎで力投する加治屋に対し、フォーク2球を空振りし追い込まれた。ただ「ストライクと思った球は振ろう」と積極的に構えた。3球目。「最後の最後に甘い球がきた」。同じ球種を仕留めてみせた。打線は、新型コロナ感染の伊藤将に代わって緊急先発した小川に対し、4回まで1安打。5回にはベンチ前で円陣が組まれた。「積極的に打ちにいく姿勢を見せろ!」。立浪和義監督(52)のハッパに応えたのは、野手キャプテンを託したベテランだった。「チャンスでボールを振れば自分がピンチに追い込まれるけど、その(打ちにいく)姿勢が甘いボールを打った」。指揮官は積極性をたたえた。

リーグ1位の打率4割をキープする大島の一打で、今季2度目のサヨナラ勝ち。3カード連続の勝ち越しを決めた。延長戦は3戦3勝。勝負強さの一方、大島が「明日こそ野手で点を取って9回できっちりけりをつけたい」と言ったように得点力の課題はある。チーム総得点は首位巨人の75点、2位広島の79点に対し、3位中日は50点。立浪監督は「点を取るのが難しい本拠地。打つ方はもっと奮起していかないと」と勝ってかぶとの緒を締めた。

この日の打撃練習からは、ベース前に中堅方向へ寝かせたバットが置かれた。目的はセンター方向への意識付け。「すぐに結果が出るか分からないが、何かを変えないと。今年1年通して、そういう意識でやらしていく」。新監督の勝ちながら鍛える作業は続く。これで貯金2。2年前の最終戦を貯金5で終えて以来、2季ぶりだ。昨年は貯金1が最高で、4月4日から借金生活でシーズンを終えた。ここから貯金ロードを突き進めるか。【伊東大介】