BC新潟が3戦目で今季初勝利を決めた。群馬に3-1で勝った。先発の田村颯瀬(はやせ)投手(20)が、走者を何度も得点圏に置きながら粘投。6回を投げて被安打7も、7三振を奪い、無失点投球を見せた。先発した開幕戦の信濃戦(1-2)からの無失点イニングを14回に伸ばした。

マウンドで顔色ひとつ変えなかった田村が、白い歯を見せた。無死一、二塁のピンチを背負った6回を無失点で切り抜けると、右手に持ったグラブと片山悠捕手(23)のミットをタッチで合わせ表情を笑顔で崩した。「走者が出ても、焦らずに投げられたのは成長」と言った。

失点のピンチを何度も招いた。三塁走者を許したのは、1、2、3、6回の4度。しかし、田村は冷静で強気だった。「打者を抑えれば大丈夫。三塁まではOK」と言い切った。橋上秀樹監督(56)は「ピンチに動じない。(今季の)彼の活躍を予感させる投球だった」と話した。東京学館新潟から入団3年目の左腕は、チームの今季初勝利という重圧のかかるゲームで粘った。

開幕の信濃戦(9日)でも先発し、8回を投げて2安打、4三振の無失点投球。この日は信濃戦では使わなかったフォークを有効に使った。「初球のフォークでストライクが取れた」と言う。得意のスライダーの切れも鋭く、奪った7三振のうち、空振りの三振は6を数えた。「投げる前からボールの軌道が分かる」と言うほどの自信を明かした。

マウンドでは堂々と振る舞っていた田村だったが、リリーフ陣にマウンドを託した後のベンチでは違った。「スタンドの観客と同じようにドキドキしていた」と勝利を手にするまでハラハラし通しだった。しかし貴重な1勝を獲得してからは反省も忘れなかった。「3者凡退がなかった。追い込んでから力む場面があった」。これで開幕から14イニング連続無失点。20歳は反省を糧に進化し続ける。【涌井幹雄】