田中が打って、田中が抑えた。楽天田中和基外野手(27)がチームの全得点を挙げる、値千金の1号決勝2ランを放った。

3月29日オリックス戦以来となったスタメン起用に結果で応え、同じ姓の先発田中将大投手(33)を援護。チームに引き分けを挟んで5連勝をもたらした。打った直後、ベンチでは田中同士がお互いに名前を連呼するやりとりを明かした。

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ダイヤモンド1周し、ベンチに戻ると目に飛び込んできた。田中和は、1回を投げ終えたばかりの田中将にさけんだ。「田中さん!」。即座に反応した右腕も「おい、田中!」と呼応した。田中和が打って、田中将が抑える好ゲームを演出。約1カ月ぶりのスタメン起用で、20年10月以来1年7カ月ぶりの1発。「ホームラン打つ前に(田中将が)1500イニングのボード掲げて、『この回点取ろう』ってベンチがなっていたので」と結果で応えた。

スタメン起用を前に宣言していた。「いつも試合に出ている選手ばりに、堂々と落ち着いていきます」。石井GM兼監督と渡辺打撃コーチに伝えながら、言い聞かせていた。「久々のスタメンだからって張り切ることなく、何事もなくいつも通りやろうと思ってやりました」。この1カ月の間、打席に立ったのは3回のみ。1日に同監督から「打席立ってないけど、感覚とか大丈夫」と聞かれていた。

不安なく臨むだけの練習量は確保していた。「ビジターでもホームで練習時間いっぱい練習して、運動量は落ちないように。いつかはスタメンくるだろうと思っていたので」。来るチャンスのために、ひたすら牙を研ぎ続けた。代打での3打席も打球を捉えてのアウトだった。「僕の中では、期間空いてますけど全然大丈夫ですよ、と答えて。その質問は、今日スタメンで出るっていうアレ(サイン)だったのかなと」と回想した。

殊勲の一打を振り返り「いい感じでバットを振り抜けた。思いっきりバカみたいに振っても当たらなかったら一緒ですし、今日の感じでもホームラン入る。それはいい勉強になったと思います」と、感触を確かめていた。【栗田成芳】

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