明大の蒔田稔投手(3年=九州学院)が気迫のこもった投球で、9奪三振の116球で今春3勝目を初完封で飾った。チームは2-0で勝利し、法大と1勝1敗1分けとして第4戦に持ち込んだ。

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蒔田は、試合中に何度もガッツポーズを決めた。勝利への気持ちが、あふれていた。9回は、先頭をフォークで空振り三振に仕留め、こぶしを握った。続くドラフト候補の法大・斉藤大輝内野手(4年=横浜)は2ストライクと追い込み、カットボールで見逃しの3球三振。最後の打者をフォークで空振り三振に切ると、こん身のガッツポーズが出た。

負ければ勝ち点を落とす1戦に、中1日で先発。被安打3の9奪三振、116球で初完封し「試合のつくり方が分かってきた。投げるごとに強くなっていると思う」と自信を口にした。

自ら打って好機もつくった。3回先頭で11球粘って左前打。1死満塁とし、上田希由翔(きゅうと)内野手(3年=愛知産大三河)の中前への先制2点適時打につなげた。安打が生まれたバットは「開幕前に2万4000円で買ったバリー・ボンズモデルです」。第2打席で折ってしまったが、田中武宏監督(61)が「チームであげます」と申し出た。

苦手だったフィールディングは、毎日のノックで鍛錬。田中監督は「不器用な男だけど、積み重ねてきた」と信頼を寄せる。今は、チームを救う男だ。【保坂恭子】