阪神の先発西勇輝投手(31)が、1発に泣いた。5回まで1度も三塁を踏ませなかったが、両軍無得点の6回に試合が動いた。西川に右前打を浴び、初めて先頭打者の出塁を許すと、無死一塁から4番マクブルームにフルカウントからの8球目、甘く入った変化球を左翼席まで運ばれた。先制2ランを被弾。西勇は高々と舞い上がった打球を、マウンド上でぼうぜんと見つめるしかなかった。

6回7安打2失点の力投も実らず、今季3敗目(2勝)で黒星が先行した。試合後は球団広報を通じて「次の試合に向けてまた頑張ります。チームが勝てるように腕を振るだけです」と短いコメントを残した。矢野監督は「ピッチャーを責められるような試合じゃないと思うし。勇輝は勇輝の仕事をやろうとして、やってくれた」とかばった。前回3日ヤクルト戦でも8回3失点の粘投も敗戦投手となった。打線の援護に恵まれない。

西勇はこの日の登板を含め今季先発した7試合中6試合でクオリティースタート(登板6回以上、自責3以下)を達成。防御率はリーグ2位の2・11と安定感が光る。広島戦はセ・リーグ球団のカード別最多の12勝(6敗)と好相性を誇っているが、無援護では勝ち星は巡ってこない。【古財稜明】

○…阪神大山は20年6月20日巨人戦以来、約2年ぶりの左翼スタメンで無安打に終わった。8日中日戦で2ランを放ち、打順を7番から5番に上げた一戦は3打数無安打。3点を追う9回2死一、三塁では三ゴロに倒れ、悔しさだけが残る1日となった。

○…阪神岩貞は痛恨の投球内容でダメ押し点を許した。2点ビハインドの8回に登板。3番西川からの難しい打順に2死球2安打。1死も奪えないまま1失点した。4月24日ヤクルト戦以来、5試合ぶりの失点。流れを引き寄せられなかった。

○…阪神浜地が大ピンチで本領を発揮した。3点リードの8回無死満塁で岩貞に代わって登板。直球で押し込み、会沢を中飛、上本を一邪飛、床田を遊ゴロに仕留めて無失点で切り抜けた。「ピンチの場面でしたが、しっかり自分のボールを投げることを心がけました。今日のような厳しい場面を抑えることが仕事だと思っているので、0で帰ることができて良かった」と胸をなで下ろした。

○…阪神斎藤が1回を無失点に抑えた。3点を追う9回に5番手でマウンドへ。広島中村健を変化球で見逃し三振にとると、菊池涼を遊ゴロ、西川を二ゴロに仕留め、3者凡退に抑えた。「しっかり攻める気持ちを持ってマウンドに上がりました。任せていただいた持ち場を0で抑えることを継続していきたい」。4月21日のDeNA戦で今季初先発をした後は、中継ぎ登板で3戦連続無失点に抑えている。

▼阪神が今季10度目の完封負け。38試合目での到達は球団最速で、過去ワーストの63年45試合目を59年ぶりに更新した。昨年の完封負けは11度。早くもあと1に迫ってしまった。

▼完封負けのシーズン最多は31度で、いずれも56年の大洋(DeNA)と東映(日本ハム)が記録。今季の阪神は年間37度の完封負けを喫するペースで、球界ワーストを更新する恐れがある。

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