広島が巨人10回戦(宇都宮)で9回に2点差をひっくり返され、逆転サヨナラ負けを食らった。佐々岡真司監督(54)は守護神栗林のコンディション不良もあり、継投策が後手となり、9回1アウトも取れないまま敗れた。上位争いをする巨人にあまりにも痛い敗戦。引き分けを挟み連敗で、3位転落となった。

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無情にも、中島の打球は前進守備の左翼の頭上を越えた。2-0の9回。初完封を狙った遠藤が先頭から連打と四球で無死満塁を招くと、佐々岡監督はたまらず投手交代。2番手ターリーは、勢いづいた巨人打線にのみ込まれた。ポランコ、中島に力勝負を挑むも、いずれも捉えられた。

宇都宮清原球場初勝利目前から一転、逆転サヨナラ負けの結末を迎えた。佐々岡監督は9回の遠藤続投に「完封をすれば自信になるだろうし、あれだけの投球を見せてくれたので任せるつもりだった」と振り返った。ただ、理由はそれだけではない。一塁ファウルゾーンにある同球場ブルペンで、栗林が投球練習をすることは最後までなかった。

指揮官が「栗林に投げられない理由があったから、9回も遠藤に任せたということです」と明かした。蔦木トレーナーは「コンディション不良がありました」と説明する。守護神までつなぐ中継ぎ陣に不安を残し、8回はイニング別失点は最多32失点。「魔の8回」が守護神不在で「魔の9回」となっただけだった。

中継ぎへの不安が作戦を後手にする。2-0の9回表。1死満塁の好機を迎えながら、8回まで109球の遠藤に代打を送ることができない。強攻策も併殺。好機を逃したことで、宇都宮のファンの後押しを受けた巨人が息を吹き返した。続投した遠藤が9回に力尽き、継投した無死満塁の時点で流れは巨人にあった。今季広島が先発投手をイニングの途中で降板させたのは今季10試合目となった。

上位争いをする巨人にあまりにも痛い逆転負けを喫した。引き分けを挟み連敗で、3位転落。さらに守護神のアクシデントまで加わった。指揮官は18日の登板について「まだ分からない」と厳しい表情。「今いるメンバーでやるしかない。また明日みんなでやりたい」。窮地にこそ問われる一体感も、信頼なくしては生まれない。【前原淳】

○…小園が6試合連続複数安打と好調の波に乗る。2回無死一塁では右翼線へ二塁打。7回先頭は三遊間への内野安打で、9回無死一塁では中前打。今季5度目の猛打賞を決めた。「いいところに転がってくれたが、チームの勝利につなげられなかった。いいところ(6番)を打たせてもらっている。明日からまたやっていきたい」。3安打も白星につながらず、笑顔なき猛打賞だった。

○…末包が先制2点打を放ち、チームの宇都宮清原球場初得点をたたき出した。2回1死二、三塁からメルセデスの内角球にバットを折られながら右前に運んだ。「最悪1点で、ヒットになってくれれば最高かなと思っていた。なんとかランナーをかえせて良かった」。過去3度の同球場での巨人戦はいずれも完封負け。29イニング目でルーキーがスコアボードに「2」を刻んだ。

【ニッカン式スコア】17日の巨人-広島戦詳細スコア