前夜の4発花火ショーは夢だったのか。矢野阪神が一夜で沈黙の虎に戻り、開幕44試合で昨季に並ぶ11度目の完封負けを喫した。うちヤクルトには6度目の燕アレルギーで、対小川も16回無得点の天敵ぶりだ。佐藤輝明内野手(23)もプロ初の2失策を犯すなど、打てず守れず21日にも自力Vが消滅する。20日からは甲子園で交流戦前最後の巨人3連戦。「大阪タイガース」の戦闘服が復刻される伝統の一戦で意地を見せてくれ!

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今季最多の4発が出た前夜と同じチームなのか。阪神打線が一夜で沈黙した。3点を追う9回、抑えのマクガフから1死一、二塁と1発同点の場面を作ったが、糸井が二ゴロで糸原は三ゴロ。開幕44試合で早くも昨季に並ぶ11度目の完封負けを喫し、むなしくゲームセットを聞いた。

先発小川に7回0封され、前回3日の完封負けから16イニング連続で「0」を並べられた。矢野監督は「今日の方がよかった感じには見えた。コースにも来てキレもある。まあ、そんなことばかり言っても仕方がないんで」と苦虫をかみつぶした。小川には3回の8番投手ガンケルの左前打と4回の佐藤輝の右翼線二塁打の2安打に抑えられた。

今季のヤクルト戦は4勝8敗。うち6度が0封負けと「燕アレルギー」が深刻だ。井上ヘッドコーチは「打ち気を逆手に取られている。小川というより、中村(のインサイドワーク)にやられている気がする」と厳しい表情で言った。

守りのミスも響いた。7回2死一塁で、山崎の三塁前のセーフティーバントをダッシュで処理した佐藤輝が一塁へ悪送球。一気に一塁走者を生還させ、2点ビハインドにされる痛恨の適時失策となった。8回にも代打太田のゴロを一塁へ悪送球し、プロ初の2失策。矢野監督は「(7回は)流れの中でも大きな点になった。輝もこれから三塁をやるなら、セーフティーをやらせないという…。ポジショニングが深い。克服していくしかない」と厳しかった。深めの守備位置は前カードのDeNA戦からコーチ陣に指摘されており、防げた1点と言えた。敗戦後、背番号8は最後にベンチを出て悔しく引き揚げた。

借金13で首位ヤクルトとは10・5差。21日にも自力優勝が消える崖っぷちだ。ふがいない敗戦に、車で帰路に就いた虎党が球場に向かって「矢野~やめろ~!」と大声で叫ぶ場面もあった。20日からは甲子園に戻り、交流戦前最後の巨人3連戦の正念場。矢野監督は「いいきっかけをつかんで交流戦を迎えたい」と懸命に切り替えた。3連戦は「大阪タイガース」の復刻ユニホームを着用する。先人猛虎の力も借りて、意地を見せたい。【石橋隆雄】

○…投手主将の岩貞が1回持たず、2/3回を2安打2失点で途中降板した。1点を追いかける7回に2番手で登板。最速153キロを出した真っすぐを軸に、先頭の長岡と代打浜田をテンポ良く空振り三振に仕留めた。だが上位打線に回ると1番塩見に中前打され、続く山崎のセーフティーバントを三塁佐藤輝が悪送球して一塁走者の塩見が生還。3試合ぶりの失点で無念の途中降板となった。

▼阪神は最短で21日に自力優勝が消滅する。条件は、20日から(1)ヤクルト○○なら阪神●●または●△(2)ヤクルト○△または△△のときは阪神●●。いずれの場合も、22日以降に阪神が残り試合に全勝しても、ヤクルトが阪神戦13試合以外に全勝すれば、最終勝率で阪神を上回るため。

▼阪神は今季11度目の完封負けを喫し、そのうちヤクルトには6度目となった。小川には5月3日の甲子園で完封され、特に神宮では通算6勝を献上しながら黒星は1つと苦手にしている。今季のヤクルトでは石川にも2戦2勝を許して防御率は0・00と、左右の両輪に苦戦。他球団では、広島床田や巨人赤星にもすでに2勝ずつを献上するなど苦手にしている。

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